1対1のビデオ面接システムとAIを活用し人材採用の偏りを減らすSwygが1.3億円調達

アイルランド・ダブリンに拠点を置くスタートアップのSwyg(スワイグ)は、面接プロセスと独自のAIを組み合わせることで、採用時のバイアスを減らすことができると考えている企業だ。このたび同社がプレシードファンディングで120万ドル(約1億3000万円)を調達した。

ラウンドをリードしたのはFrontline Venturesだ。ほかにPointyの共同創業者のCharles Bibby(チャールズ・ビビー)氏やPipedriveの共同創業者のMartin Henk(マーティン・ヘンク)氏などのエンジェル投資家たちが参加している。今回の資金は、Swygの技術チームと製品チームを成長させ、プラットフォームの開発をさらに進めるために使用される。

「候補者の選考は採用時の大きな問題です」とSwygの創業者のVincent Lonij(ビンセント・ロニジ)氏は私に語った。「それは採用プロセスの中で、最も労働集約的で最も間違いが発生しやすい部分です。一人の評価者や面接官が、履歴書や静的プロファイルなどの限られた情報に基づいて判断しようとすると誤った決定が行われます。そこが人間の偏見がプロセスに入り込む場所となります」。

さらにロニジ氏は、求職側の意見として、就職希望者の圧倒的多数が、時間をかけた就職面接からのフィードバックを受け取りたいと思っていると指摘した。「それなのにフィードバックを受けているのは41%に過ぎません。それが学びと成長の機会を阻害しているのです」。

これを解決するために、Swygプラットフォームでは、あらかじめ定義された構造化された質問を使用し、候補者が多くの面接官と1対1のビデオ・チャットを介して面接を行う「ピアインタビュープロセス」を採用している。

「このピアツーピアプロセスは、1人の採用担当者や採用マネージャーに頼るのではなく、多様な個人グループの専門知識を利用します」とSwygの創業者は説明する。「より多様なレビュアーからのインプットを得るだけでも、偏見を減少させることができます」。さらに、SwygのAIテクノロジーは、ピアインタビュアーを「偏見と人為的エラーを検出して修正することによって」リアルタイムに調整できると主張している。

画像クレジット:Swyg

面接対象者とその面接でのパフォーマンスを理解するには、最初にSwygが面接官についてもっと理解する必要があるというのが、ここでの考えの1つだ。その中には、総合的にどのように候補者を採点しているか(すなわち、採点がポジティブ寄りかネガティブ寄りか)や、高得点をつけた後にはより厳しい審査員になる傾向があるか、またはその逆もあるか、もしくはかなりの一貫性があるかなどの変数が含まれている。

また、参加者が故意に不当な評価を与えた場合などを含め、予期しないことが起こったときにそれを検出するシステムも用意されている。これにより、Swygが特定のレビューを必要ならば除外できるレビュープロセスが起動される。

「簡単に言うと、AIや機械学習で候補者を直接判断するのではなく、面接官を理解するために機械学習を使用しているのです、それが候補者の理解につながります」とロニジ氏は説明する。「このテクノロジーを使用して、インタビュアーの既知の認知バイアスを検出して修正することができ、より正確な評価につなげることができます」。

一方、ロニジ氏は、他のひとたちは、完全に自動化されたソリューションを使うか、または完全に手動のソリューションを使って候補者選択問題を解決しようとしているという。「どちらのやり方も上手くいきません」と彼は主張する。

これは、一般にAIが完全に自動化された方法で人間を判断できるほど十分に発展しておらず、結果として経歴書のキーワードマッチングや録画された動画の自動分析がほとんど信用できないためだ。そしてまた、人間のインタビュアーだけでも間違いが発生しやすく、さまざまな偏見の影響を受ける。

「私たちはハイブリッドなアプローチで違いを生み出します」とロンジ氏は付け加える。「候補者をプロセスの一部にすることで、AIの効率性を得られると同時に、人間の誠実さと適応性の最良の部分を活用することができます」。

画像クレジット: Swyg

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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