5Gネットワーク上で動作するアプリの開発を容易にするプラットフォーム「Shabodi」

市場の多くが5Gインフラストラクチャの構築と販売に注力している一方、見落とされている重要な部分として、5Gネットワーク上で動作するアプリケーションの開発があると、SineWave Ventures(サインウェーブ・ベンチャーズ)のゼネラルパートナーであるVivek Ladsariya(ヴィヴェック・ラドサリヤ)氏は述べている。だからこそ、Shabodi(シャボディ)のような企業を支援することに興奮していると同氏はいう。

「アプリケーション開発者は常にネットワークの複雑さを取り除きたいと考えており、Shabodiはそんなニーズに応えるための準備を整えています」と、ラドサリヤ氏はメールで語っている。

Shabodiは、企業やシステムインテグレーター、通信事業者が5G上での次世代アプリケーションの開発・展開を加速できるようにするために、シード資金として337万5000ドル(約3億8000万円)を調達した。

トロントを拠点とするこの会社は、通信業界のベテランであるVikram Chopra(ヴィクラム・チョプラ)氏とHarpreet Geekee(ハープリート・ギーキー)氏によって2020年に設立され、まずはそのアプリケーション・イネーブルメント・プラットフォームによる5Gの展開に注力している。2人が一緒に働くのはこれが二度目になる。

Shabodiはすでに顧客と協力し、5Gの展開を収益化して投資収益率を高め、そのネットワークの可能性を最大限に活用している。

「5Gはすべての人にとっては2〜3年先の話ですが、事業としては今、機が熟しています」と、チョプラ氏はTechCrunchに語った。「企業は複数の拠点に5Gを展開していますが、その上でアプリケーションを構築するには新たなスキルセットが必要であり、今のところ当社はそれに対応している数少ない企業の1つです」。

Shabodiでは、決済の分野でSquare(スクウェア)がやったことになぞらえて、シンプルなAPIを提供することで5Gを解きほぐし、開発者が予想外のコストや複雑さ、ドメインの格差なしに、インダストリー4.0のアプリケーションを構築できるようにすることを目指していると、チョプラ氏は述べている。

今回のシードラウンドは、Blumberg Capital(ブラムバーグ・キャピタル)が主導し、Counterview Capital(カウンタービュー・キャピタル)、Shasta Ventures(シャスタ・ベンチャーズ)、SineWave Ventures、MAVA Ventures(マヴァ・ベンチャーズ)、Green Egg Ventures(グリーン・エッグ・ベンチャーズ)、Maccabee Ventures(マカビー・ベンチャーズ)、CEAS Investments(シアス・インベストメント)、Supernode Ventures(スーパーノード・ベンチャーズ)、Lorimer Ventures(ロリマー・ベンチャーズ)が参加した。Shabodiは2021年初め、 Forum Ventures(フォーラム・ベンチャーズ)とCisco(シスコ)やYahoo(ヤフー)の元幹部が主導するプレシードラウンドを実施し、20万ドル(約2300万円)を調達している。

同社は15人の従業員と2つの特許を有しており、2022年には3つ目の特許を取得する予定だ。

チョプラ氏は、他の顧客については明らかにできないとのことだが、約10社ほどの企業と交渉中であると述べている。同氏によれば、今回の資金調達によって製品チームと営業チームを強化し、年内にはShabodiの最初の製品を公開する予定だという。

「この10年で最も影響力のある開発の1つである5Gの展開を加速させるために、業界の専門家からなるShabodiの先見性のあるチームに協力できることを誇らしく思います」と、Blumberg Capitalのマネージング・ディレクター、Bruce Taragin(ブルース・タラギン)氏はメールで語っている。「5Gはエンタープライズ・テクノロジーの多くの側面を崩壊させるでしょう。Shabodiのプラットフォームは、アプリケーション開発者、組織、業界全体が5Gを実現する方法を大幅に改善する可能性を有しています」。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

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