Airware、民生用ドローンの活用拡大に向け、密猟者からクロサイを守るプロジェクト等を実験中

Airwareは、平和利用のためのドローン普及を目指すスタートアップだ。ドローンに関わるハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアの開発を行っているこのAirwareだが、平和利用の一形態として、アフリカはケニアにおける密猟防止策としてのドローン活用を提案している。こうした提案を通じて、年内にもドローンの平和的商業利用マーケットを確立したいと考えている。

Airwareの設立は2010年で、Y Combinator 2013年3月卒業組のひとつだ。一般的に想定されるビジネスシーンのみではなく、精密農業、土地活用管理、送電線点検作業、油井やぐらのメンテナンス、あるいは災害救助活動などの用途での活用も視野にいれているそうだ。

先述のようにAirwareでは、ドローンのハードウェアや、基本となる操作運用システムなどを作成する。そこに各特定用途向けのアプリケーションを搭載して運用するというイメージになる。これにより、ドローンを実際の業務に活用しようとしている企業も、いちから無人航空機(UAV)の開発を行う必要がなく、活用に至る障壁が低くなるということになる。

このAirware、2013年5月にはシリーズAにて1070万ドルを調達している。主導したのはAndreessen Horowitzで、Google VenturesRRE VenturesLemnos LabsPromus VenturesShasta Ventures、そしてFelicis Venturesなども参加している。ちなみにこれは、デモ・デー後の調達額として、Y Combinatorの歴史上で最高額となるものだ。調達資金は、軍事用ドローンと最近いろいろと登場しつつある趣味のドローンの中間となる、すなわち過不足無く商業目的に活用できるドローンの開発に充てられている。

今年後半には、Airwareの商業用ドローンはベータ段階を終え、広く実用に供される予定となっている。しかしそこに向けて、世の中のドローンに対するイメージを変える必要もあると考えているようだ。「ドローンの有益な活用法を世の中に伝えたいのです」とAirwareのファウンダー兼CEOであるJonathan Downeyは述べている。

昨年末に話題になった、ジェフ・ベゾスのAmazon Air Primeは、ドローンの認識を新たにするのにひと役買ったものと思われる。しかし、これはあくまでも実験段階のもので、まだまだそれなりの人口密度のあるところでのドローン実用化は難しい面もある。Airwareとしては、すぐにも利用できる分野についての知識を、世に伝えたいと考えているのだ。

そうした目的で、Airwareは昨年12月に部隊をケニヤのオル・ペジェタ野生動物保護区に送り込んだ。東アフリカ最大のクロサイ生息地だ。ドローンのオンボードカメラを使って、密猟者の侵入をモニターしようと試みたのだ。Airwareによると「Airwareの自動飛行プログラムを搭載したドローンを飛ばすことにより、抑止効果と監視効果が期待されます。リアルタイムのビデオ映像と、赤外線映像(動物と、そして密猟者の存在もわかります)をパトロール部隊に送ることができるのです。カメラは固定式のものと、ジンバルマウントのものが利用できます」とのこと。実際に飛ばしている様子は下のビデオで見ることが出来る。

広大な地域を徒歩や車で監視して回るのは非常に大変なことだ。かといってヘリコプターや飛行機を使って見て回るとなると、多大なコストが発生してしまう。ここでアピールするのがAirwareのドローンだ。オル・ペジェタ野生動物保護区のパトロール部隊は、簡単なインタフェースを通じて保護区のあちこちでドローンを飛ばし、そして日夜にわたって密猟者の侵入を監視することができるのだ。

Downey曰く「多くの人に(非軍事目的のドローンの)活躍の様子を見てもらいたいと考えています。そうすればドローンの有効性に気付いてもらうことができ、家庭での利用に向けたイメージもできてくると思うのです」とのことだ。ドローンは平和的とは言えない用途で、まず注目を集めることとなってしまった。しかしこれはドローンのみが「恐ろしいもの」であるというわけでなく、テクノロジーの持つ性質によるものだとも言える。テクノロジーを「どのように」利用するかが問題なのだ。もちろん「戦争の親玉」を目指す人もいるのだろう。しかしAirwareは人間を攻撃するためでなく、人間に役立つドローンを生み出していこうと努力しているのだ。

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(翻訳:Maeda, H


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TechCrunch Japan

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