Alibabaは、東南アジアにおけるUberのライバルGrabへの投資を通じて、同地域へさらに攻勢をかけるつもりなのかもしれない。
Bloombergの報道によれば、Alibaba社長のジャック・マーは、同社と関係の深いSoftBankが率いるGrabの投資ラウンド(総額14億ドル)への参加を検討しているとのこと。さらにTechCrunchでは、AlibabaがGrabと投資に関する話し合いを行ったという情報を入手しており、Alibaba傘下のAnt Financialが運営する決済サービスAlipayがGrabアプリに導入される可能性も出てきた。また、AlibabaはGrabの決済プラットフォーム「GrabPay」にも関わろうとしているようだ。
本件に関して両社にコンタクトしたが、Grabはコメントを控えており、Alibabaからは返答も得られなかった。
シンガポールに拠点を置くGrabは、昨年9月に行われたシリーズFで7億5000万ドルを調達しており、その際のバリュエーションは30億ドルだった。設立から5年が経ち、Grabアプリのダウンロード数は4500万回を記録しているほか、ドライバーの数は90万人を超え、現在営業している7か国での1日の合計利用回数は250万回におよぶという。
AlibabaとAnt FinancialのどちらがGrabに投資するかはまだハッキリしていないが、両社ともネット業界の成長が著しい東南アジアでいち早く礎を築くべく、同地域での投資を加速させている。Alibabaは東南アジアで活躍するEC企業Lazadaの株式の過半数を握っている一方で、Ant FinancialはAscend Money(タイ)やMynt(Philippines)といった金融サービスを提供する企業に投資しているほか、インドネシアでも金融サービス系のジョイントベンチャーを立ち上げた。
AlibabaがGrabに興味を示したことで、Alibabaと同社最大のライバルTencentは、東南アジアやアジアの他の地域で新しい戦いを繰り広げることになるかもしれない。なお、東南アジアのインターネット市場は今後10年間で2000億ドル規模に成長すると予測されている。
先月お伝えした通り、TencentはUberやGrabと競合するインドネシア企業Go-Jekへの投資を決め、12億ドルのラウンドでリードインベスターを務めることになった。本件に詳しい情報筋によれば、AlibabaとAnt FinancialもGo-Jekと話を進めていたが、結局Tencentが本件を勝ち取ったようだ。ちなみに、Go-Jekはまだこの資金調達について正式なアナウンスを行っていない。
両社のインドでの戦いはさらに熱を帯びている。Tencentは、AmazonのライバルであるFlipkartの投資ラウンドにMicrosoftやeBayらと共に参加した一方、Alibabaは決済・EC事業を行うPaytmをインドの投資先に選んだ。
先月SoftBankが14億ドルという大金をPaytmに投資したが、それ以前にもAlibabaとAnt FinancialはPaytmに大金を投じていたのだ。そう考えると、Grab絡みの話でこの3社の名前が一緒に出てくるのも何ら不思議ではない。
[原文へ]
(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)