Amazonが今度はMarvelとDCに挑戦するようだ。今日(米国時間7/9)、Amazonはコミック専門の新しいインプリント〔出版事業のブランド〕をローンチするとプレスリリースで発表した。
ブランド名はJet City Comicsで、ニール・スティーヴンソン(Neal Stephenson)のSymposiumが最初の出版物となる。今年中にジョージ・R・R・マーティン(George R. R. Martin)原作のコミックも刊行される。また2014年にはディストピアものSFのWoolがグラフィックノベルとしてシリーズ化される。
当面Amazon Jet CityはSFとファンタジーという手堅い分野を専門にするようだ。強力なオリジナル・シリーズを揃えるMarvelコミックスやDCコミックスを直接脅かすような存在ではないが、これはおそらく他の分野へ進出するための地ならしなののだろう。
今回のJet Cityの他に、Amazonの既存のインプリントとしてはMontlake Romance(ロマンス)、Day One(短編、新人作家)、Skyscape(青少年向け)などがある。 Amazonは独自出版事業の拡大に全力を挙げている。今回は著名SF作家の作品でJet Cityを立ち上げたが、急速にオリジナル作品(Amazonのセルフ出版事業からの作品の採用が有望だろう)によってタイトルを拡充していくはずだ。
中長期的に見ると、Amazonの新しい出版ブランドはコミックや小説の出版にとどまらず、オリジナル・ビデオやグッズなどとのタイアップ事業にも役立つだろう。Amazonはメディア関連事業のあらゆる分野に進出して独自の環境を建設する考えだ。そうなれば著作権も一元的に管理できるし、利益を確保するのに非常に好都合だ。
またこれはKindleコミックでもあるので、Kindle Fireの普及にも役立つし、他のプラットフォームでの電子書籍販売も促進できる。デジタル・コミックスはcomiXologyなどがリードする急成長分野だ。Amazonの参入で競争は激化するだろう。ともあれJet Cityから出版される作品がどんなレベルであるかを早く見てみたい。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)