Amazonのインフルエンサープログラムにユーチューバーも応募できるように

商品のキュレーション・宣伝を通じてアフィリエイト収入を得ることができるAmazon独自のインフルエンサープログラムで、ユーチューバーの応募受付がスタートした。3月のベータ版ローンチからしばらくが経ち、先週の木曜日にはユーチューバーからの参加申請を受け付け始めていたことがこの度わかった。

「Amazon Influencer Program」と名付けられた同プログラムでは、これまでクローズドベータテストが行われており、インフルエンサーは所定のフォームを記入することで、参加申請できるようになっていた。

また、申請フォームはフォロワー数、コンテンツの質やエンゲージメント、Amazonとの親和性などをもとに審査されていた。

このプログラムの狙いは、ソーシャルメディアの力を利用した収益拡大だ。YouTube動画を含む各種オンラインコンテンツでは、インフルエンサーが気に入った商品をオススメする様子をよく見かける。これは企業から依頼を受けている場合もあれば、アフィリエイト収益を狙ったものもある。Amazonは独自のプログラムを通じて、この商流にもっと直接的に関わろうとしているのだ。

本件についてAmazonの広報担当者に確認をとったところ、「YouTube上のインフルエンサーに対しても、最近セルフサービスツールの公開を始めた。現時点ではAmazon Influencer Programへの登録しかできないようになっている」とインフルエンタープログラムの対象者を拡大したことを認めた。

同プログラムに参加したいユーチューバーは、専用のセルフサービスツールを使って参加申請できる。画面下部の「Get Started」と書かれたボタンをクリックすると、YouTubeアカウントの情報や参加資格があるかどうかについてのチェックが数ステップにわたって行われる。現状ではYouTubeアカウントが必須になっているが、今後は別の方法で参加資格をチェックする手段も追加されるようだ。

これに合わせて、Amazon Influencer Program用のウェブサイトも一新され、基本情報やプログラムの仕組みが新たに記載されている。

ウェブサイトの情報によると、参加が許可されたインフルエンサーにはカスタマイズ可能なAmazon上の専用ページが与えられ、そこにオススメ商品を登録できるとのこと。そして、バニティURLがサポートされたこのページで訪問者が商品を購入すると、インフルエンサーにコミッションが入るという仕組みだ。

さらに、このプログラムは従来のアソシエイトプログラムをインフルエンサー向けに拡張したもので、収益拡大を目的にAmazonへの新しい流入経路を提供するものだともサイトには記されている。

人気YouTubeチャンネルの「What’s Up Moms」「Mark Cuban」「Felicia Day」は既に参加が許可されたようで、Amazon上ではこれらのチャンネルのページが確認できる(なおベータ版の参加者数は公表されていない)。

しかしインフルエンサープログラムは、あくまでアフィリエイトプログラムの一環という位置づけのため、必ずしも紹介料が従来のプログラムに比べて高いというわけではない。つまり同プログラムは、インフルエンサーがオススメする商品を購入しやすくするための仕組みなのだ。

インフルエンサープログラム成功のカギを握っているのが、短くて覚えやすいURLを付けられるバニティURLのサポートだ。

バニティURLは「口頭でURLを伝える際や、直接リンクが貼れない環境では特に便利」だとAmazonは言う。具体的には、商品紹介動画などの中でURLを伝えるといった使い方が考えられる。

Amazonが動画関連の施策を打ち出したのは今回は初めてではない。同社は昨年「Style Code」というテレビショッピングスタイルのオンライン番組をローンチしたが、思ったような成果が得られなかったのか今年の5月には番組がキャンセルされてしまった。しかしインフルエンサープログラムの導入により、今後Amazonはユーチューバーを売り手に見立てた、HSNやQVCのような番組を作ることもできるだろう。

セルフサービスツールが公開されたことで、インフルエンサープログラムが本格的に始動したようにも感じられるが、そうではないようだ。申請内容はAmazonのスタッフによって手作業でチェックされるため、ほとんどの参加希望者にとって同サービスはまだベータ版の域を出ないと言える。

AmazonはYouTube以外のソーシャルサイト上で活躍するインフルエンサーも取り込もうとしており、Facebook、Twitter、Instagramなどが次なるターゲットになるだろう。

しかし先日ローンチされた「Amazon Spark」というInstagram風のサービスと、インフルエンサープログラムがどのように関わっていくのかはまだわかっていない。Amazon Spark上では、プライムメンバーがお気に入りの商品や感想を投稿できるようになっており、ここにインフルエンサーが自分のAmazonページのURLをリンクするといった使い方が考えられる。

Amazon Influencer Programはまだ実験段階にあるため、今後同社が対象者を拡大するにつれて、プログラムの内容も変わる可能性がある。

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(翻訳:Atsushi Yukutake