Amazonの企業向けメール/カレンダーサービスWorkMailが今週、プレビューを終えた。1年前にデビューしたこのプロダクトはAmazon Web Servicesを利用し、Microsoft Exchangeなどのレガシーソリューションに取って代わることをねらっている。
ただしWorkMailはMicrosoft Outlookのようなメールクライアントソフトウェアと競合するのではなく、それを統合する。またMicrosoft ExchangeのActiveSyncプロトコルを使用しているApple Mailなど、そのほかのメールクライアントからも利用できる。iPhone, iPad, Kindle Fire, Fire Phone, Android, Windows Phone, BlackBerry 10など、モバイルのメールクライアントアプリもだ。
また同社によれば、WorkMailのWebアプリケーションバージョンも提供される。
Amazonはこのところ企業顧客を取り込む方向に舵を切っているが、今回のプロダクトもその路線…Zocaloの買収による共有化ストレージサービスWorkDocsや、企業のIT部門がエンドユーザにクラウドベースのデスクトップ環境を提供できるサービスAmazon WorkSpacesなど…の一環となる。これら既存のサービスと同じくWorkMailも、Amazon Web Servicesのパワーを活用して、ビジネスユーザのニーズに直接奉仕することをねらう。つまりそれは、単なるバックエンドソリューションではない。
WorkMailは企業が利用するメールプロダクトとして、暗号化や、スパムやウィルスを事前に見つけるメッセージスキャン、メールボックスが置かれる場所(リージョン)の指定など、セキュリティ機能を強化している。とくにリージョンという要素は、Snowdenが政府による盗視行為を暴露して以降の今日、ヨーロッパの顧客には喜ばれるだろう。
ほかにもプレビューの段階でさまざまな機能が導入された。それらはたとえばKMS(AWS Key Management Service)の統合、ISO 27001, ISO 27017, ISO 27018証明への準拠、会議の場所、機器などを手配するリソース作成、ExchangeからWorkMailへ移行するためのマイグレーションツールなどだ。
そのほか同社は、この製品が一般公開される時点ではセットアッププロセスが今よりもずっと容易になる、と言っている。Microsoft Active Directory対応のSimple ADを使用するので、セットアップは10分で終わるそうだ。Apple MailやOutlookなど、OS X上のクライアントにも対応する。
まだ準備中の機能もある。それはたとえば、単一のグローバルアドレス帳のサポート、フリー(空いている)/ビジー(混んでいる)の情報提供、メールのジャーナリング機能、などだ。
Amazon WorkMailの一般公開時の料金は、これまでと同じユーザ一人あたり月額4ドル(メールボックスのストレージは50GBを提供)と、他社との競合を意識した設定になっている。一人あたり2ドルの追加料金で、一人あたりクラウドストレージが200GBのAmazon WorkDocsを利用できる。
WorkMailを利用できるAWSのリージョンは、U.S. East(Northern Virginia), U.S. West(Oregon), そしてEurope(Ireland)だ。