昨年の12月に、部品メーカーのConexantが、製品にAlexaを組み込みたいと考えているサードパーティのメーカーのために、Amazonと共同して開発キットを作る、と発表した。さらにそのフォローアップとして、Alexa Voice Serviceのための開発キットAudioSmart Development Kitに、マイクロフォンが4つのキットが登場した。
Amazonは先月、同社の遠方界(far-field)技術をデベロッパーに公開し、そのとき披露された7マイクロフォンタイプのキットは、Echoの優れた音声認識技術を別の部屋からや、騒音の激しい環境でも十分に利用できる、とした。Conexantの製品は同じ効果を4マイクロフォンで実現できるとし、製造コストを抑える設計を訴求した。
でも、いちばん成功したのは2マイクロフォンタイプのようだ。同社によると、そのEcobeeとよばれる製品は、最近発表されたAlexa対応スマート・サーモスタットにも使われている。まさに、今さらスマートフォンに進出しても遅すぎるハードウェアメーカーは、さまざまなAlexa製品に活路を見出すしかない、かもしれない。
しかもそれは、Amazonにとっても大きな勝利だ。同社のEcho製品はいわば予想外のヒットだったが、今ではAlexaが世界的なメジャーになりつつある。だからこれからは、Amazonが何もしなくても、サードパーティのハードウェアメーカーが同社のスマートアシスタントの宣伝役になるわけだ。
ハードウェアメーカーは必要なスキルをAlexaに焼きこむだけでなく、その製品が既存の12000あまりのスキルにもアクセスできる。製品がいわば、‘仮のEcho’になる。そんなサードパーティのAlexa製品は昨年初めてローンチしたばかりだから、まだ勢いはないが、でもそれは結果的に氷山の一角になるだろう。
しかしもちろん家の壁がマイクロフォンだらけになれば、忘れていたプライバシーの問題が首をもたげる。
Conexantが嬉々として挙げるRBC Capitalの予測では、2020年のAlexa製品のインストール数は1億2800万台となる。もちろん、そのすべてがEchoではない。サプライチェーンの一角を占めるConexantのような企業とパートナーしたことによって、Alexaの採用は加速し、Amazonはスマートホーム市場に強力な地歩を築く。AppleやGoogleがそれに追いつくのは、たいへんかもしれない。