Amazonは、Rekognitionを隠していたわけではない。2016年の晩(おそ)くに、この巨大ソフトウェア企業は、その顔検出ソフトウェアをAWSの比較的穏やかな記事で紹介し、その技術をすでに、オレゴン州ワシントン郡の保安官事務所が被疑者同定のために採用している、と発表した。
しかし今週、ACLU北部カリフォルニア州支部が、この技術に厳しい光を当て、このサービスが“市民の自由と権利に関する深刻な懸念をもたらす”、とする文書〔複数形〕を入手した、と発表した。
その問題の文書は、ワシントン郡が持つ30万の顔写真データベースと、郡の行政官などがそれらの顔を調べるためのモバイルアプリの存在を、とくに指摘している。また、Amazonはそのサービスの顧客を、ボディーカメラのメーカーなど郡以外にも拡大したい、と請願したとも言っている。
その北部カリフォルニアACLUのブログ記事(上記)を書いた同団体の弁護士Matt Cagleは、別の記事でこう述べている: “誰もが、政府に監視されずに通りを歩けるべきである。Rekognitionのような技術には、監視社会を自動化しこの自由を侵す危険性がある。とくに今日の政治的風土においてすでに不法に標的とされているようなコミュニティ〔複数形〕に、脅威をもたらす。このような強力な監視システムがいったん作られて展開されれば、その弊害を取り除くことはきわめて困難である”。
The Washington Post紙が、このACLUの記事に関して郡の広報担当Jeff Talbotに取材した。その担当官は同紙に対して、その技術は今あるシステムに限定されている、と語った。曰く、“われわれの目標は、防犯に関してわれわれがやっていることを公開して人びとにそれを正しく知ってもらうことだ。そのためにあえて言うならば、それは監視社会でも無差別監視でもない”。
Amazonは、その技術は本質的に人に対して侵襲的ではないか、という本誌の質問をはぐらかした。本誌宛ての社名入り声明で、こう述べている: “技術としてのAmazon Rekogniには現実世界で役に立つアプリケーションがたくさんある。そしてこのようなAIサービスの効用は、今後ますます多くの企業がAmazon Rekognitionのような先進的な技術を使い始めるに伴って、増加する一方である。一部の人びとが技術を悪用するからといって新しい技術を非合法化していたら、今日の私たちの生活の質は今よりずっと悪かったであろう。コンピューターが不法な目的に使われる可能性があるから、お客にコンピューターを買えないようにしたら、どうなっただろうか。AWSのどのサービスもそうであるように、Amazon Rekognitionに関しても私たちは、遵法性と責任ある使い方を顧客に要請している”。
画像クレジット: REMY GABALDA/コントリビューター