人々が1000ドル以上払って〈いずれ〉iPhone Xを手に入れる権利(あるいはその〈いずれ〉iPhone Xを手に入れる権利を1500ドル以上で売る権利)を獲得している一方で、Appleは同社が1兆ドル企業になれるかどうかの実態をウォール街に示すべく順調に仕事を進めている。
先に本誌は、一般に企業の四半期決算は企業の株価を左右する機会であることを指摘した。Appleはありあまる現金を溜め込んでいるが、会社の将来はiPhone -- とりわけiPhone X -- の成功に依存している。同社はiPhone 7の改良版をiPhone 8として売っているが、iPhone XはAppleの考えるインターネットと自分をつなぐ真の次世代端末を代表する機種だ。
それを踏まえて前四半期Appleは、次の四半期は予測を上回る可能性があることを示唆した -- それを受けたウォール街は再びモデルを修正し、その結果Apple株価は急騰した。今年に入ってから40%以上上昇している。
金曜日(米国時間10/27)、Apple株はまた3%以上の高値をつけ時価総額を8420億ドルとした。たしかあと1600億ドル増やすことは容易ではないが、Appleエコシステムで動作するデバイスをつなぐネットワークと、車、オフィス、ホーム、さらには街を歩きながらも含めたシームレスな体験を提供する新製品を揃えつつあるAppleにとっては実際可能に思えてくる。
木曜日(米国時間11/2)に第4四半期の決算が発表される。iPhone 8とiPhone 7の販売状況やiPhone Xの進捗のヒントも明らかになるだろう。果たしてAppleがiPhone Xの需要を満たせるかどうかまだわからないが、これまでよりはるかに高い価格設定によって、製品価格と開発投資との間に新たな平衡点が見つかる可能性がある。これまでもiPhoneは一種のプレミアム製品だったが、もしAppleがさらに高いレベルで需要を開拓しそれをアーリーアダプター以外にも広げることができれば、同社のビジネスに著しい勢いを加えられるだろう。
ここ1年ばかり、Appleは成長エンジンであるiPhoneの減速を目にしてきた。その実績はいかなる基準からみても低調というべきものではないが、収益の停滞とウォール街の期待低迷は会社はプレッシャーを与えた。AppleはAirPodsやHomePodなどの新製品を投入したがまだ結果は出せていない。同社はサービス事業についても、製品基盤の上で方法的に成長できる追加製品群としてウォール街に売り込んできた。
それでもiPhoneが今も主力であることは売上数値からみて明らかだ。しかし、第3四半期にAppleが見せたあの小さな合図は、第4四半期の実績に同社がさらに大きな期待を寄せていることを示す兆候なのかもしれない。
Appleが1兆ドル企業を目指しているとすれば、明日から本格的取組が始まるはずだ。Appleは掲げた数字(象徴的な部分が大きいが)と一致する数字を示す必要があり、CEO Tim Cookは毎度の財務報告が等しく重要になってくるとも言っていた。Appleが新たな層の需要を開拓しさらに高い収益を生み始めるかどうかを占うためにも、数字はいっそう重要になってくる。新たな収益エンジンを強化するために、あの膨大な現金をどうするのかも注目される。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )