拡張現実や仮想現実の技術に取り組んでいるテクノロジー企業は2017年に、30億ドルあまりのベンチャー資金を調達した。このニュースを報じたアナリティクス企業Digi-Capitalのデータによると、ARやVRをめぐる空騒ぎは下火になったものの、そこに注ぎ込まれるキャッシュの量は相変わらず増え続けている。
たしかに2017年の金額は2016年の投資額に比べて増えているが、しかしディールフローそのものは軽くて、わずか4つの案件が総額30億ドルの大半を占める:
億単位の資金を調達したNiantic, Improbabl, Unityなどの大物はAR/VR技術の将来性を投資家たちにうまく売り込んだと思われるが、それだけの資金量を獲得できた背景には、強力で伝統的なゲーム業界がある。
その中にあってMagic Leapは、業界の最大の一匹狼だ。彼らの最初の製品がどんなものか、そろそろわかりかけてきた今日では、彼らがだんだん、まともな企業に見えてきている。その製品がいつなんぼで出るのか、それはまだ不明だが、もっと分からないのは、彼らが企業市場と消費者市場のどっちに軸足を置くのか、という点だ。
2016年と2017年にVRのプロジェクトでシードラウンドを稼いだ小さめの企業は、Crunchbaseが示すように案件は徐々に減少し(右図)、泡沫企業の整理と、AR/VRスタートアップに対する継続投資の先細り、そして廃業が続くものと思われる。
2017年の後半はヘッドセットを使うVRからモバイルのARに焦点が移り、AppleのARKitやGoogleのARCoreなどが関心を集めた。しかし実際のアプリケーションは単なる視覚化があまりにも多く、平凡なものばかりだったので、受けはあまり良くなかった。消費者向けARヘッドセットは市場が大きく枯渇し、AppleやMicrosoft、Magic Leapなどが10年後の消費者に向けて今年以降何をやるか、様子見モードに入った。
今後伸びるであろう芽はいくつかあるが、AR/VRの空騒ぎは2017年で一掃され、勢いはなくなった。次の一歩は、Google, Apple, Facebook, Microsoftなどの大金持ちたちの動静次第だ。スタートアップのための資金は今年も潤沢と思われるが、AR/VRのような新興技術は、落ち込みがしばらくは続くだろう。