AuroraがUber ATG従業員の大半にオファーを送るも、研究開発ラボは対象外

自動運転車企業のAurora Innovation(オーロラ・イノベーション)が、Uber(ウーバー)アドバンスト・テクノロジーズ・グループ(Uber ATG)の自動運転部門の買収を発表したちょうど一週間後の12月17日に、その従業員の75%以上に対してオファーを送ったことが、合併後の統合計画に詳しい情報筋から伝えられた。

同情報筋によれば、研究開発を行っていた約50人の従業員を擁するUber ATGトロントは、オファーの対象にはなっていないという。また、Uber ATGの研究開発チームを率いていた(未訳記事)Uber ATGのチーフサイエンティスト、Raquel Urtasun(ラケル・ウルタスン)氏も対象外だ。Uber ATGのCEOであるEric Meyhofer(エリック・メイホーファー)氏が、取引が完了した時点でオーロラに入社しないことは既に確認されていた。トロント大学の教授で、カナダ政府からMachine Learning and Computer Vision領域で”Canada Research Chair”に指名されており、同時にVector Institute for AI(ベクター・インスティチュート・フォーAI)の共同創業者でもあるウルタスン氏が、Auroraに移るかどうかはこれまでは不明だった。ウルスタン氏は、自動運転車のための機械認識の第一人者と考えられている。

Uber ATGで働く1200人のうち850人以上が、Auroraの共同創業者でCEOのChris Urmson(クリス・アームソン)氏からメールでオファーを受けたという。TechCrunchが見ることができたメールの抜粋では、アームソン氏は、誰を選ぶかの決定は難しいと述べている。同氏は、この決定は、重複する領域、相対的な影響力、管理報告など、Auroraの具体的なビジネスニーズに基づいて行われたと書いていた。

Auroraはこのオファーについてコメントをしなかったが、Uberのトロントオフィスが、統合される会社に含まれないことは認めた。また、Uberの広報担当者も、トロントのR&DラボがAuroraに合流しないことを認めた。

「長期的な成長と成功に焦点を当てた独立系企業として、どこに、どのように資源を使うかを熟慮しなければなりません。私たちのミッションを果たすために、私たちは研究開発チームを別個に持つのではなく、開発プロセスとエンジニアリング業務に研究を織り込んでいます」と、Aurora社の広報担当者は電子メールの声明文に書いている。「私たちはラケル・ウルタスン氏と彼女のチームを心から尊敬しています。彼らがこれまでATGチームと業界全体の両方に与えてきた影響は驚くべきものです。彼女と彼女のチームはAuroraには合流しませんが、私たちは彼らの素晴らしい成功を願っています」。

もしオファーを受けたUber ATGの従業員が、全員申し出を受け入れれば、Auroraは2倍以上の規模になる。買収が発表される前には、Auroraはパロアルト、サンフランシスコ、ピッツバーグ、テキサスにあるオフィスに約600人の従業員を擁していて、Uber ATGはピッツバーグ、サンフランシスコ、トロントにオフィスを構えていた。

AuroraとUberは、複雑な合意に達する前に何ヶ月も協議を重ねてきたが、合併後の企業の価値は100億ドル(約1兆円)となる予定だ。AuroraはUber ATGに現金は支払わない。Uber ATGは、昨年トヨタ、デンソー、ソフトバンクのビジョンファンドから10億ドル(約1034億円)の投資を受け、72億5000万ドル(約7498億円)と評価されていた。現金の代わりに、UberはATGの株式を手渡し、4億ドル(約414億円)をAuroraに投資する。これにより米証券取引委員会への提出書類によれば、合体した会社の株式の26%を保持することになる。Uber ATGの株主はAuroraの少数株主となる。

今回の買収が発表された時点で、アームソン氏はTechCrunchに対し、今後60日間は2つのチームをまとめ「最初の製品を市場に送り出すのを加速させる技術は何かを冷静に検討し、それを増幅させていきます」と語った。

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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