B2B営業のためのプラットフォームAccordがシードで約6億円調達

B2B営業に注文をもたらすことにフォーカスしているアーリーステージスタートアップAccord(アコード)の創業者たちは、あなたが想像するようなエンジニア創業者ではない。その代わりRoss Rich(ロス・リッチ)氏、Ryan Rich(ライアン・リッチ)氏の兄弟は、この手の直接販売にありがちな問題を目の当たりにしてきた営業担当者だった。

2019年11月、2人はAccordを立ち上げて、売り手と買い手の両方のニーズを考慮するB2B営業のためにプラットフォームに欠けていると彼らが確信しているものを構築するために、給料の良いGoogle(グーグル)とStripe(ストライプ)での仕事を辞めることを決めた。

Accordはシードラウンドで元雇用主のStripeとY Combinatorから600万ドル(約6億3000万円)を調達し、事業を開始しようとしている。創業者たちは仕事を辞めてからYCに申し込み、プロダクトをまだ持っていなかったにもかかわらず洞察と業界での経験でインキュベーターに強い印象を与えたことは注目すべきだろう。

プロトタイプの原型はアイデアを書いたものだった(画像クレジット:Accord)

営業スキルはあるが、プログラミングの能力を欠いていると2人は認識し、アイデアを現実のものとすべく、すぐさま3人目のパートナーとしてWayne Pan(ウェイン・パン)氏を迎え入れた。今日では、有料の顧客を抱える実際に機能しているプログラムを持っている。彼らはB2Bの営業担当者とバイヤーがやり取りできるオンラインハブのようなものを構築した。

共同創業者のロス・リッチ氏が指摘するように、こうした種の販売は多い場合平均14人が買い手となるコンシューマーバラエティとはかなり異なる。あまりにも多くの人が意思決定プロセスに関わると、すばやい対応が困難になる。

「アプリケーションの中で共有された次のステップとマイルストーン、バイヤーが非同期的に追跡できるもの、1つの書類やプレゼンテーションのための何百通もの電子メールやスレッドの分類を避けるためのリソースハブ、適切な人が適切なときに輪にいるようにするステークホルダー・マネジメントを当社は提供します」とリッチ氏は説明した。

Accordはまた、興味をそそるデータがきちんと営業データベースで追跡されるようにするためにSalesforce(セールスフォース)のようなCRM(顧客管理)を取り込んでいる。同時に、スタートアップにとってこのプラットフォームが人的交流のための場所であってほしいともリッチ氏は話す。自動の電子メールやテキストの代わりにAccordは人が実際に交流できる場所を提供していて、人の要素はこうした種のディールに固有の複雑さを減らすのに重要だと同社は確信している。

600万ドルのランウェイとY Combinatorでの経験を得て、創業者たちはこれまで以上に一致団結して市場開拓を進める準備が整っている。Accordのスタッフは現在9人で、営業専門の2人の創業者をのぞき、大半がエンジニアだ。リッチ氏は2021年何人が雇用する意向を示したが、今後数カ月内に確定させると言い、現時点では実際に何人採用するかはまだはっきりしていない。

採用にともない、Accordは女性数人にエンジニアリングチームに加わってもらうことを考えている。多様性は早期に始めなければ、後からはなおさら難しくなると同社は認識している。「9、10人採用しようと誰かに声をかけ、そうした人たちが『このチームを信用し、これが働きたいカルチャーだろうか』と思案するとき、(早期の多様性のあるグループの雇用は)混ぜ合わせるだけです」。多様性がありインクルーシブな職場を作りたいなら、その投資は早く開始しなければならない、とリッチ氏は話す。

Accordのチームはまだ初期段階にあるが、B2Bの営業チームがこれまで以上に緊密かつ効果的に顧客と協業するのをサポートするプロダクトを構築していて、Accordはこの分野での経験と業界の知識があることから成功に向けいい位置につけているようだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Accord資金調達B2Bセールステック

画像クレジット:Accord

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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