Bashoが時系列データ専用NoSQLデータベースRiak TSをオープンソース化してIoTへの浸透をねらう

internetofthings

世界中のありとあらゆるデバイスメーカーが、自分たちの製品をインターネットに接続しようとしているように、思える。ベッド用のマットレスも、洗濯機も、トースターも、そしてジューサーも〔冷蔵庫も〕。大量のデータが空中や線上にあふれ出て、分析されるのを待つ列に並ぶだろう。

そのようなデータは今後増加の一方で、それを送信する能力は、最近1億5000万ドルを調達したSigFoxなどの企業によって徐々に整備されていくが、しかしながら今の分散データベースのアーキテクチャの多くは、市場が求めるそんな帯域にマッチできるほどの、高速なデータ処理と出力の能力を持っていない。

シアトルのBashoは、同社のNoSQLデータベースRiak TSの最新リリースで、そんな問題の一部を解決しようとしている。TSはtime-series(時系列)の頭字語で、データのユニークなキーヴァリューがタイムスタンプであり、それはそのデータが作られた日時を指している。TSシステムはこれまでもBashoのエンタープライズクライアント(Uber, AT&Tなど)にしばらく使われてきたが、今回のオープンソースリリースによって、そんなデータタイプを初めて扱うデベロッパーでも、気軽に利用できるようになった。

MongoDBやDataStaxなどの同業企業と違ってBashoはこれまで、わずか2500万ドルの資金しか調達していない。明らかに同社は、時系列データを扱うという独自性が、NoSQLデータベースの業界で強力な差別化要因になる、と信じている。

今回のニューリリースは、ApacheのクラスターフレームワークSparkを統合し、SparkとRiak TSにおけるインメモリ処理のためのデータの、自動的分散化と対話をサポートしている。

多くの人にとってこれは些細なことと思えるかもしれないが、センサーからの大量の時系列データを扱う者にとっては、大規模な分散化データが、コンピューターの実動時にすら、長いリード/ライト時間の原因となり、分散化による冗長性が効率を殺してしまう。

ソリューションとしては、ハッシュランクを使ってデータのキーをデータクラスター全体にわたって均一に分散するやり方が多い。それによって、大規模なノード集合全域にわたる同じタイムレンジからのデータを効率的に入力するが、一方でレンジへのアクセスが高負荷な操作になる。

BashoのCEO Adam Wrayによると、Riak TSが使っているユニークな分散化システムはユーザーに、タイムスタンプのある、あるいはそのほかの連続的な、データの処理における有利性を与える。

“われわれはデータの配置を最適化し、特定のノードが特定のレンジのデータを得るようにしている”、と彼は語る。つまりこのような配置によって、一定のタイムレンジからのデータのフェッチが、より少ない操作ですむようにしている。

新しいリリースのREST APIによって個々のデベロッパーが利益を得るだけでなく、Bashoがエンタープライズの世界で歓迎される要因は、Riak TSの、既存のSQLデータベースコマンドとの互換性だ、と彼は考えている。

“それは正規のSQLコマンドであり、一部のCQLや、SQLのわれわれ独自の変種ではない”、とBashoのCTO Dave McCroryは述べる。“われわれは、人びとがいちばん多く使いたがる従来的な操作をサポートする”。

たしかに、いちばん多く使われているSQL操作をサポートすればレガシーユーザーやエンタープライズの多くにとって魅力的だが、多くのエンタープライズユーザーはSQLプラットホームの上に内製のカスタムソリューションを乗っけており、それがエンタープライズ世界におけるRiak TSの広範な採用を妨げるかもしれない。

Riakのノードは仮想と物理的、両方のマシンにまたがって分散化でき、またMicrosoftのAzureやAmazon Web Servicesなどのプラットホーム上の、クラウドインスタンスの上でもそれは可能だ。

Bashoの主張によると、時系列データの処理では、Riak TSの方がApacheのNoSQLデータベースCassandraなどよりも50%は速い。本誌TechCrunchはこの主張を検証していないが、今回オープンソース化されたことにより、Rial TSシステムのパフォーマンスゲインは多くのユーザーにとって明らかになるだろう。

このシステムが内包している強力な事故回復力が、エンタープライズユーザーたちのデータベース乗り換えの十分な動機になるか、それはまだ分からない。Riak TSでは各クラスターが同一データのコピーを三つ抱えるので、マルチクラスターのリプリケーションが天文学的な数の操作になることもありえる。しかし十分なスケーラビリティがあれば、これによって高いアップタイムと低い誤り率が保証される。ただしそれに要する費用は、小さな企業が尻込みするほどの額だろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。