Boschから高精度レーダー地図情報システム――自動運転用に普及する可能性

ドイツの大手自動車部品メーカー、Boschはオランダの位置情報デバイス・メーカー TomTomと協力して高精度のマップシステムを発表した。これはBoschが開発したRadar Road Signature〔レーダー利用道路特徴抽出〕と呼ばれるテクノロジーを用いて周辺の道路を地図化し、車両の位置を2、3センチの精度で決定する(ヤード・ポンド法でいえば1インチ程度の精度だ)。

こうした高精度の位置決めには従来ビデオカメラのデータが用いられてきたが、新システムはこれを補完する。レーダーを用いるために悪天候などにより視界が悪い環境でも作動するという利点がある。こうした環境ではカメラは十分に機能を果たさない場合があった。

驚くべきことに、このシステムから車両に渡されるデータの量はカメラを用いたビデオに比べて半分程度だという。これは車両システムのネットワーク化にも大きなメリットとなる。データ量は自動運転を実現する上で自動車メーカーが常に重要な要素と考えてきた部分だ。Boschによれば、現在の計画では、実車からのデータ収集は2020から開始されるという。

このシステムが路上の自動車に大量に登載されるようになれば、精密な地図の制作に大きく貢献することになる。このためには現行のBoschのレーダーシステムをアップグレードする必要がある。現行システムはドライバーに高度な運転補助を与えることが目的であるため走行中のみ作動する。高精度の位置情報を提供する新システムへのアップグレードには車両の挙動によって起動される現在のシステムを常時作動する仕組に変える必要がある。

新しい地図システムは車両周辺を認識し、自動車が走行レーンに対してどのような位置にあるかを正しく決定できる。これにより、自動車が取るべき進路を予測すると同時に、渋滞、道路工事、駐車スペースの空き具合などのリアルタイム情報を処理するダイナミックなレイヤーが加えられる。レーダーから得られる情報はこのようなダイナミックな地図を生成する上で決定的な要素となると期待される。

Boschによれば、Radar Road Signatureシステムは「既存のあらゆる地図フォーマットと互換性がある」という。つまり自動運転のための精密な地図が必要とされており、かつ重要であるような多様な状況で採用が可能ということだ。Boschは自動車パーツの世界的供給者の1社であるため、このレーダーシステムは多くの自動車メーカーに採用されて大きな影響を与える可能性がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+