ChromeOSといえば最初に頭に浮かぶのはChromebookノートパソコンだろう。しかし2012年以降、GoogleとそのハードウェアのパートナーはChromeboxeを静かに売ってきた。Chromebookがノートパソコンなのに対してChromeboxはいわばデスクトップ版だ。
最近の統計によればChromebookの売れ行きは良く、Chromebookは市場に確固とした地位を築いた。そこでGoogleは次にChromeboxというコンセプトに改めて光を当て、伝統的なデスクトップ・コンピューティングのイノベーションに乗り出す考えのようだ。
今日(米国時間2/12)、ラスベガスで開催されているデジタル・サイネージ・エキスポでGoogleはChromeboxがデジタル・サイネージに利用できることを力説した。
今回紹介されたのはGoogleが以前からサポートしているキオスク・モードを拡張した比較的シンプルなやり方だ。デベロッパーはChrome OSが起動すると同時に任意のChrome Appを走らせることができる。
つまりサイネージ企業はChromeboxをディスプレイ(標準グラフィック入力を備えた道路脇の広告スクリーンなど)に接続するだけで広告を表示することができる。あるいはファーストフード店ではタッチスクリーンにメニューを表示して注文を受けたりできる。タッチスクリーンを使えば、広告を対話的にすることも可能だ。現在、多くのサイネージ企業は独自のシステムを使っているが、時折、死のブルースクリーンを見かけることでも分かるように古いWindows OSを使っている会社もある。
Chromeboxをこうした方面に使うことはこれまでも可能だったが、Googleがプロモーションに力を入れ始めたのは最近だ。
全画面のキオスクモードで実行するには、アプリに数行のコードを追加するだけでよい。 アプリのインストール、アップデートなどはChromebookのマネージメント・コンソールからリモートで実行する。キオスクモードで実行中のアプリはあらかじめ決められた動作以外できないので、公共の場所に設置しても安全だ。一部の学校ではすでに授業に利用しているChromebookのChromeOSを一時的にキオスクモードに切り替えて専用アプリを実行し、試験に利用している。
先週Googleはビデオ会議用のChromebox for Meetingsを発表した。これはビデオ会議用アプリをキオスクモードで実行するChromeboxで、管理はやはりChromebookからリモートで行う。
これまで市販されているChromeboxeはSamsungの製品のみ(329ドルから)だったが、Chromebox for MeetingsのメーカーはDell、HP、ASUSでそれぞれ独自バージョンを近く発売する。CESではLGがChrome OSベースのデスクトップを披露したが、こちらは伝統的なオールインワンで21インチのディスプレイつきだ。
ChromeboxのハードウェアもこれまでのCeleronからCore i7 CPUに格上げされグラフィックスも強化されたので、デベロッパーは複雑なアプリをデスクトップで走らせることができるようになった。ネーティブ・クライアントのおかげでゲームその他リアルタイムで高速なグラフィック処理が必要なアプリケーションにも対応可能だ。
Chromebox for Meetingsを始めとする新しいChromeOSハードウェアがいよいよ市場に出る時期にGoogleがデジタル・サイネージのような新たなユースケースを紹介するのは理にかなっている。AsusのChromeboxはわずか180ドルと極めて安い。しかしそれより重要なのはリモートで容易に管理できることと、ほとんどクラッシュしない堅牢さだろう。またChrome OSアプリは要するにウェブ・アプリなのでデベロッパーが専用アプリを開発するのも簡単だ。
GoogleはChromeboxをはっきりプラットフォームとして位置づけた。今後GoogleはChromeboxベースのニッチなプロダクトを開発してくるだろう。たとえば居間の大画面をコントロールするテレビ的なChromeboxが発表されるかもしれない。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)