ますます多くのコンピューティングがエッジへ移行して行くに伴い、プログラマーはレイテンシーを減らしパフォーマンスを上げるために、ユーザーになるべく近いコンピューティングパワーにアクセスしたい、と願っている。今日(米国時間3/13)Cloudflareが発表したCloudflare Workersは、そんなデベロッパーたちがCloudflareのネットワークのエッジで直接実行されるコードを、書けるようにする。
同社の協同ファウンダーでCEOのMatthew Princeによると、これまでそんなアクセスができるのはCloudflareの社員だけだった。“今日からはそれを、自分のアプリケーションをエッジで動かしたい人なら誰でも使える。これによってCloudflareの可能性も広がり、アプリケーションのこれまではできなかったような構成やプログラミングが可能になる”、と彼は説明する。
今の、IoTやゲーム、ビデオなどのアプリケーションは大量の帯域を使用するから、処理をなるべくエッジに持ってこれればパフォーマンスも改善され、またコードの実行に対する細かい粒度のコントロールも可能になる。
Princeによると、プログラマーは、ユーザーがそのアプリケーションにアクセスする場であるフロントエンドをいじったり、あるいはバックエンドではデータベースをいじくってパフォーマンスをアップしようとする場合が多い。しかしこれまでの彼らは、Cloudflareのネットワーク上のどこで自分のコードが実行されるかを、コントロールできなかった。
“本質的にローカルなプロダクトを開発する場合は、大多数のユーザーが至近距離にいるわけだから、コードがエッジで実行されるようプログラミングすればよい”、と彼は語る。至近距離という言い方は、誇張でなない。Cloudflareはデータセンターが世界中127箇所にあり、しかもその数はコンスタントに増え続けている。
この新しいサービスによりプログラマーは、コードが実行される場所をJavaScriptのコードで指定できる。しかも、そのコードをアップデートすると、エンドユーザーのところでアプリケーションのアップデートをする必要なく、ほとんどすぐに実装される。変更を、今使っているクラウドプロバイダーへアップロードする必要もない。
Cloudflareは、企業のWebサイトのパフォーマンスとセキュリティを向上することがメインの仕事だが、今回は自分のネットワークのパワーを顧客に利用させようとしている。コードの実行場所をプログラミングできることによって、ユーザーは自分のアプリケーションを動かすために必要なさまざまなレベルのリソースにアクセスでき、そしてロードバランシングやリソースアロケーションなどの面倒な仕事はCloudflare自身がやってくれる。AWsなどの、クラウドインフラストラクチャプロバイダーが、まさにそうやっているように。
2009年に創業された同社は、これまでに1億8200万ドルを調達し、これからの数か月ないし数年で同社のネットワークへのアクセスを拡大したい、という大きなビジョンを持っている。Princeによると、同社は昨年売上1億ドルのラインを超え、社員は600名を抱えている。今回のCloudflare Workersのようなサービスが加わると、売上はさらに拡大し、同社が作った全世界的なネットワークを、さらに有利に利用していけるだろう。