ふつうモバイルアプリはそれ独自のユーザー体験であり、オペレーティングシステムと仲は良いが、それに完全には統合されていない。AndroidをベースとするCyanogen OSを作っているCyanogenが今日(米国時間2/22)ローンチしたMODは、オペレーティングシステムにもっとダイレクトに統合化されたアプリを作れる、というデベロッパープラットホームだ。
‘オペレーティングシステムにもっとダイレクトに統合化’とはどういう意味かというと、通常はOSのデベロッパーしか使わないような多くのネイティブAPIへのアクセスを提供し、アプリのより統合化されたバージョンや、既存のアプリのエクステンションを作れるようにする、という意味だ。
このやり方にはセキュリティ上の問題もあるので、Cyanogenは特定少数のデベロッパーにしかこのプラットホームを公開していないが、長期的にはすべてのデベロッパーに公開したい、という。
Cyanogenによると、このような’mods’(OSに対するハック)が“アプリの進化を促進し、‘ポストアプリの時代’の先駆けになる”、のだそうだ。
実際にMODで何ができるかというと、たとえばデベロッパーは、自分のVoIPアプリを直接、Androidのダイアラーアプリへ統合できる。CyanogenのチームはSkypeでそれをやってみて、その成果はたぶん、Cyanogen OSの次のアップデートで、ほかのMODsたちと一緒に同梱されるだろう。
Skypeの統合があると、Cyanogen OSのユーザーは、ダイアラーから直接、ふつうの電話ネットワークか、それともSkypeにするかを選べる。これまでのように、個々のアプリ独自のダイアラーというものは要らない。
CyanogenはMicrosoftと関係が深くなっているので、CyanogenのチームはMicrosoftのパーソナルアシスタントアプリCortanaの音声認識サービスをカメラアプリに統合した。すると、カメラのボタンを操作しなくても、音声でセルフィー(自撮り)が撮れる。MicrosoftのHyperlapseも、カメラアプリに直接統合するつもりだ。
さらにCyanogenは、MODを使ってより対話的なロックスクリーンを作り、ユーザーがOSにログインしなくても、お気に入りのソーシャルネットワークからアップデートが分かるようにした。
このプラットホームは、来月のCyanogen OS 13.0のローンチで、Cyanogenデバイスに展開される。
また、MODを使いたいと言っている同社のOEMやMNOパートナーたちのためのプログラムも立ち上げようとしている。Cyanogenはこれらのパートナーに開発キットを提供し、また、ソフトウェアと最新世代のチップセットとの互換性の確立に努めている。
CyanogenとCyanogen OSは今だにニッチのプロダクトだ。だから、このような新しい軽量アプリの開発に時間や労力を投資するデベロッパーがどれだけいるか、が問題だ。iOSとAndroidのアプリを作るだけで、手一杯かもしれない。でも、多数のデベロッパーが関心を持たなくても、このやり方自体は文句なしにおもしろいから、ほかのOSのベンダたちも同じ道を志向するかもしれないのだ。