オープンAndroidのCyanogenフレーバーが、ヨーロッパでキャリアから少し愛されようとしている。というのもSpainのTelefonicaが今日(米国時間11/12)、このモバイルOSを載せたスマートフォンBQ Aquaris X5を、Movistarというキャリアブランドでローンチするのだ。
この機種は、Telefonicaのドイツとイギリスのキャリアでも年内にローンチする予定だ。とくにイギリスでは来月、O2から提供される。またMovistarによると、このブランドが進出しているほかの国でも、そのうち発売される。
お値段は、スペインのMovistarのSIMフリー機種は209ユーロ、2年契約なら月額わずか8.7ユーロだ。
ハードウェアとしては、5インチのディスプレイ、プロセッサはSnapdragon 1.4Ghzクワッドコア、RAM 2GB、内部メモリ16GB、リアカメラ13MP、…と見てくると、まぎれもなくモバイルのミッドレンジ機だ。OSはCyanogen OS 12.1、これはAndroid 5.1.1(Lollipop)がベースで、独自の機能として、データを共有する場合のプライバシー制御や、スパム検出機能のある発信者番号通知などがある。後者は、CyanogenとTruecallerとのパートナーシップによる。
Cyanogen自身はこのところ相次ぐ投資台風に襲われていて、3回のラウンドでなんと計1億1500万ドルも調達した。投資家はAndreessen Horowitz、Index、Qualcomm、Foxconnなど大物揃い。彼らは、“中身の濃い”モバイルプラットホームとしての将来性に賭けているのだ、とCEOのKirt McMasterが2013年の時点で述べている。
でも今のモバイルは、GoogleフレーバーのAndroidが支配しているのではないか? 勝てないなら敵陣に加われ(If you can’t beat ‘em, join ‘em)、という古いことわざがあるが、Cyanogenの場合は敵陣に加わりつつ、ひと味ふた味違ったところを見せる、という戦法だ。
すでにOEMのレベルでは、イギリスのWileyFoxや中国の OnePlusなどがCyanogen機を作っているが、キャリアのレベルでのサポートが得られたことは今後にとっての意味が大きい。しかもTelefonica系のストアでは、お客が、買う前に試用できるのだ。
途上国を対象とするMozillaのFirefox OSも、キャリアのサポートが得られるようになってから約30か国で使われるようになった。Cyanogenはターゲットがそれより大きいから、いろんな市場でAndroidと直接対決するだろう。キャリアが採用したことの効果については、今後を見守るしかない。
でも、グローバルにシェアの大きいAndroidの中で、強力な選択肢が増えることは、消費者にとって良いことだ。