米証券取引委員会(SEC)への提出文書によれば、他のいかなる独立企業よりも現在のコンテナコンピューティング環境の創出に貢献してきたDockerが、目標1億9200万ドルのラウンドで9200万ドルを調達した。
この新しい資金調達ラウンドが示すものは、サンフランシスコを拠点とするDockerは、そのツールキットの普及度という意味では、GoogleのKubernetesとの競争に負けたかもしれないが、アプリケーション開発とプログラミングの情報技術運用モデルの、現代的なハイブリッドに移行したい企業たちのための援軍となったということだ。
現代のプログラミングにおけるコンテナの重要性を理解するためには、まずそれが何であるかを説明することが役立つだろう。簡単に言えば、それは動作のためにオペレーティングシステムを必要としない仮想アプリケーション環境である。かつては、この種の機能は、アプリケーションソフトウェアとオペレーティングシステムの両者を含む仮想マシンを使用して作成されていた。
対照的に、コンテナはより効率的だ。
それらは単にアプリケーションと、それが依存するライブラリやフレームワークなどだけを含むので、1つのホストオペレーティングシステム上に沢山のコンテナを置くことができる。サーバー上のオペレーティングシステムは、1つのホストオペレーティングシステムだけで、コンテナたちはそれと直接対話をすることができる。これによって、コンテナを小さく、オーバーヘッドも著しく低く保つことが可能になる。
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企業たちは、ソフトウェアの開発および管理方法を改善するために、急速にコンテナに移行しており、その動きはますます速くなっている。しかし、彼らは単独でそれを実現することはできず、そうした移行の手助けをするDockerのようなパートナーを必要としている。
多くの人たちが見逃している点は、Dockerは単なるコンテナオーケストレーションレイヤー(このレイヤーではKubernetes が覇権を握ったが)にとどまらず、コンテナを作成し管理するための完全なツールチェーンを提供するということである。
どんなオープンソースプロジェクトでも、テクノロジー企業たちはオープンソースプロジェクトを迅速に採用(そして適応)し、その使用方法に精通する。そうしたハイテクに精通していない大手の企業たちは、そうしたツールキットで開発されたプロジェクトを管理するために、Dockerのような企業の助けを借りることになる。
大企業顧客を相手にするテクノロジースタートアップが、より多くの利益を上げるにつれて退屈なものになるのは、自然な進化である。大企業が彼らを使い。彼らはお金を稼ぐ。誇大宣伝は終わる。もしある企業が大企業の顧客に売り込むことができれば、顧客はそのベンダーとずっと付き合ってくれるのだ。
Dockerの創業者で元最高経営責任者のSolomon Hykesは、今年初めに退社した際に、以下のように語った:
…Dockerは、私たちのCEOである素晴らしいSteve Singhのリーダーシップの下、爆発的な収益性の増大と数百万人の開発者コミュニティに支えられた、エンタープライズビジネスへと静かに変容を遂げました。私たちの戦略は単純です。世界のすべての大企業は、アプリケーションとインフラストラクチャを、一気にクラウドに移行する準備をしています。高価なコードやプロセスの変更や、単一のオペレーティングシステムやクラウドへのロックインなしに、信頼性と安全性を確保しながら移行を行うソリューションが必要なのです。現在、これらの要件を満たす唯一のソリューションがDocker Enterprise Editionです。これはDockerを大きな成長の機会の中心に置くことになります。この機会を活用するには、Steveのそばに、世界最大の企業たち向けに、数十年に渡るソフトウェアの出荷とサポートをしてきた経験を持つCTOが必要です。そのため現在の私は、新しい役割を担っています:理想的なCTOを探すことを助けること、時々助言を行うこと、そして大きなビジネスの構築を続けるチームの邪魔をしないことです。株主として、私はこの役割を、この上なく嬉しく受け入れます。
今回調達した資金で、Dockerは、販売およびマーケティング担当者を増やし、2019年の公開に向けて必要な収益などの確保を始めることだろう。同社は、独立した指名取締役たちを選定した(公開に向けての窓を開こうとしている、また別の明確なサインだ)。
Dockerは既に10億ドル以上の価値を持つ「ユニコーン」である。前回Dockerが資金を調達したと言われているのは、同社が7500万ドルの目標に対して6000万ドルを調達したことを示すSECの文書を、ウォール・ストリート・ジャーナルが明らかにした2017年に遡る。その時の投資家には、AME Cloud Ventures、Benchmark、Coatue Management、Goldman Sachs、そしてGreylock Partnersが含まれていた。また当時、同社の評価額は13億ドルであった。
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(翻訳:sako)