大企業を相手に一挙に大量のユーザーを獲得したいDropboxは、そのためにプロダクトのチューンナップを続けている。今日(米国時間8/30)のアップデートではコラボレーションツールPaperに、ドキュメントをプレビューしてからロードする機能などを加えた。
シリコンバレーでデザイナーに話を聞くと、みんなPaperの使いやすさをほめる。プロダクトをデザインし構築する過程を、ネット上の呼吸する生き物のような、情報の流れにしてくれるからだ。この製品のユーザーをだいじにすべきだ、と気づき始めたDropboxは、ユーザーの要望に応えて、徐々徐々にプロダクトのアップデートをするようになった。
今日のアップデートをまとめるとこうなる: (1)モバイルデバイス上にフォルダーを作ってPaperのドキュメントを移動〜保存できる。(2)スマートフォン上でPaperのドキュメントを削除したりアーカイブできる。(3)Paperのドキュメントを開く前にプレビューできる。いずれもささやかなアップデートのようだが、Dropboxはかねてからプロダクトの単純性を頑固に守り、機能満載にはしない主義だから、これだけでもすごいことなのだ。
デベロッパー向けには、彼らのアプリケーションの中でPaperドキュメントの作成編集ができる、という機能、すなわちAPIが提供される。いわばDropboxの外で、Dropboxの機能を使えるようになるのだ。また、アプリケーションがそれらのドキュメントを操作しなければならない場合には、このやり方のほうがずっと便利だ。
このようなコラボレーションツールないしコラボレーションの機能は、そのほかの大型製品にもかねてからあるが、Dropboxのねらいは、多くのユーザーの多様なニーズにいちいち対応して複雑怪奇な製品になってしまうことではなく、むしろ、汎用的で抽象レベルの高い製品を維持するところにある。
いよいよ機が熟したと言われている同社のIPOを成功させるためにも、それは重要なことだ。その際、投資家たちは必然的に、同社をBoxやMicrosoftのような企業と比較すると思われるが、消費者製品を起源とするDropboxが彼らに訴求していくためには、Boxなどにはない独自の姿勢が必要なのだ。