DropboxのCEOドリュー・ハウストン氏は「パンデミックが仕事とは何かを再考させてくれた」と語る

米国時間9月15日、Dropbox(ドロップボックス)のCEO、Drew Houston(ドリュー・ハウストン)氏はTechCrunch Disruptに登壇し、ずっと前から議論されてきた分散型ワークへの移行が新型コロナウイルスによって加速され、この新しい仕事のやり方はパンデミックが終わっても消えてなくならないだろうと語った。

「分散型ワークへの移行による影響を大きな視点で考えると、話は、いつオフィスに戻るかという問題をはるかに超えたものになります。私たちは、逆戻りできないドアを通り抜けたのです。おそらくこれは、1959年にその言葉が誕生して以来、『頭脳労働』界に起きた最大級の変化と言えます」と、ハウストン氏はTechCrunch編集長Matthew Panzarino(マシュー・パンザリノ)に話した。

そうした変化が、この6カ月間、人々の仕事のやり方が劇的に変わっていく様子を注視してきたDropboxに、製品の完全な再考を促した。Dropboxはクラウドサービスではあるが、彼の視野に入るSaaSツールには、今の新しい仕事の仕方に沿って作られたものはひとつもない。この新たな流れの中では、仕事とは何かを改めて考える必要があると彼は言う。

「3月、私たちはこのことを、そして(分散ワークへの急速な移行が)どのように引き起こされたのかを考え始めました。それは、まったく計画外のことでした。計画できたとしたら、どうだったか?この出来事が本当に良い方向に進むよう計画することは可能か?そうして私たちは、3月にすべての製品のロードマップを、分散型ワーク中心で見直したのです」と彼は話した。

また彼は、その見直しの成果がもうすぐ現れると、大まかな示唆を与えてくれた。「将来発表するものについて、もっとたくさんお話することがあります」と彼は述べていた。

ハウストン氏は、自分の会社は自宅勤務によく対応できていたはずだが、実際にオフィスが閉鎖されることになると、パンデミックの渦中に会社を維持しなければならない他のCEOたちと同じ境遇に陥ったという。どうすればよいのか、誰も設計図を持っていなかった。

「それが始まった当初、世界的なパンデミックの中で会社を運営するための脚本は存在しなかったため、まずは顧客対応、従業員の援助を確実に行えるようにしなければなりませんでした。人生がひっくり返ってしまった人たちがあまりにも多いのです。しかもその状況も非常に多岐にわたる」と彼は話す。

しかし、彼が顧客の様子を伺ってみると、顧客たちから新しいワークフローと新しい仕事のやり方を求められた。そこで彼は、これを需要に応えるツールを生み出す好機と捉えた。

「この転換は、人の想像を超えた突然にして劇的にして予期しないものでした。それを形作ることができる、意図的に作り出せるというのは、大変な幸運です」とハウストン氏。

ハウストン氏は、2008年、TechCrunch Disruptの前身でTechCrunch 50と呼ばれていたカンファレンスでDropboxをデビューさせた。デモの最中にWi-Fiが切断され、ライブデモの危うさを露呈したことに触れていたが、今週開催されるTechCrunch Disrupt Battlefieldの参加者に励ましの言葉を贈っていた。

彼の会社は18億ドル(約1900億円)のランレートを誇る上場企業だが、スタートアップのあらゆるステージを体験し、資金を集め、株式公開を行い、今では成熟した公開会社となった。しかしDropboxは、市場の求めの変化に対応しようと、今でも進化と変化を続けている。

カテゴリー:ネットサービス

タグ:Dropbox リモートワーク / テレワーク Disrupt 2020

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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