eスポーツ大会運営のRATELが1.2億円を調達、プロゲーマー向けボイスチャットアプリ「VOLBOX」の開発を強化

画像左からCEOの吉村信平氏とCOOの吉本砂月氏

2021年4月14日、eスポーツ関連事業を展開するRATELはシードラウンドで総額1億2000万円を調達したことを発表した。引受先はNOW、F Ventures、ABBALab、East Ventures、個人投資家の田中邦裕氏、 田中良和氏、高梨大輔氏、他複数の投資家を含む。

2018年10月に設立したRATELの主力事業はeスポーツ大会の運営と放送だ。具体的にはeスポーツ大会の運営と放送、クリエティブ制作、大会運営に必要な配信機材と施設の貸し出し、実況者や解説者、オピニオンリーダーなど演者のキャスティング、イベントの企画、コンサルティングなどを行っている。2021年5月からは大会への新規参入を容易にし、長期的な大会運営が実現できるよう、レベニューシェア型の大会立ち上げサービス「ノバシェア」を提供する予定だ。

もう1つ、RATELはアプリ事業にも注力していきたい考えだ。現在、RATELはプロのモバイルゲーマー向けボイスチャットアプリケーション「VOLBOX」を開発している。

開発中のボイスチャットアプリケーション「VOLBOX」

何人かでゲームをする時に使えるコミュニケーションツールには、ゲーム特化のコミュニティアプリ「Discord」やLINEのグループ通話機能などいくつかある。ただ、それらはスマホゲームをプレイする際に使うには不便な点が多いとRATELのCOOを務める吉本砂月氏は説明する。

例えば、Discordのスマホ版は、出力される音声がモノラルになってしまうのが難点という。ステレオは左右のイヤフォンまたはスピーカーから異なる音を出力することで、音の立体感を出す技術のことだが、モノラルの場合は左右で同じ音を出力する。FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)など、立体的な動きのあるゲームの場合、モノラルだと他のプレイヤーの足音がする方向が分からなくなり、プレイに支障が出てしまう。他のボイスチャットアプリにはステレオ出力できるものもあるが、ゲーム音とボイスチャットの音のそれぞれの音量を調整できないなどスマホゲームと併用するには不便な点があるのだそう。

VOLBOXではそうした課題を解消するため、ステレオで音声を出力し、ボイスチャットの音とゲームの音をそれぞれ調整できる機能などを盛り込むなどして、プロのeスポーツ選手が使えるボイスチャットアプリを目指している。現在はクローズドベータ版をeスポーツの選手やインフルエンサーなどに提供して、サービス改善のためのフィードバックを得ている段階だという。正式リリースは2021年の秋頃を見込んでいる。

今回調達した資金は、VOLBOXの開発とeスポーツイベントの製作チームの強化に充てる予定だ。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:RATEL資金調達ボイスチャットアプリ日本VOLBOX

画像クレジット:RATEL

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TechCrunch Japan

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