EVサブスクのOntoが充電ステーションへのアクセス拡大でShellと提携

英国の電気自動車(EV)サブスクサービスOnto(オント)は、今後数年で新たなEVがマーケットに投入される動きに備え、ユーザーに充電ステーションへのアクセスを提供すべくShell(シェル)と提携した。Shellが米国時間3月9日に発表したこの提携では、Ontoの顧客はShellが英国内で展開する3400カ所超の充電ポイントと、Shellのネットワーク下の17以上の充電パートナーを利用できる。

「電気自動車の購入は多くのドライバーにとって大きな、恐ろしいスイッチです」とOntoのCEOであるRob Jolly(ロブ・ジョリー)氏は最近のインタビューでTechCrunchに語った。「充電の不安はドライバーにとって問題です。当社はEVをできるだけアクセスしやすく、手頃価格のものにしようとしていて、Shellとの提携でそれがレベルアップします」。

Ontoにとって今回が初めての提携ではない。月額料金にサービス、道路税、保険、充電が含まれる「オールインクルーシブ」サブスクモデルである同社はすでにBP、Teslaとネットワーク提携を結んでいる。Ontoは2021年2月にHyundaiの車両を加え、Tesla、BMW、Jaguar、Renaultといったメーカー以外のプロダクトへも扱いを拡大している。

IEAの暫定見積もりによると、EVやプラグインハイブリッド車の販売は300万台超に上り、マーケットシェアは4%超に達している。4%というのはマーケット飽和とは考えられないが、新しいEVがマーケットに投入されるにつれ、既存のインフラが圧迫されると自動車メーカーや充電ネットワーク企業、エネルギー専門家たちは予測している。2021年に新しいEVの発売を予定している自動車メーカーとしてはVW、GM、Ford、Hyundai、Rivianなどがある。

サブスクエボリューション

英国では新規車購入者の90%超が融資を受け、即金で購入するのが一般的だった10年前から変わっている。ジョリー氏はEVサブスクモデルが自動車マーケットで次の進化になると確信している。特に英国や他の国がガソリン・ディーゼル車禁止に動き、ドライバーがEVを持つのにフレキシブルでアクセスしやすいオールインクルーシブの方法にすり寄っているからだ。消費者へのジョリー氏のPRは、Ontoのサブスク価格はプレミアムな融資取引と競合するが、サブスクには多額の前金はなく、充電場所を探して充電費用を払う必要もない、というものだ。

「英国の人口の40%が敷地内駐車場へのアクセスを持っていません」とジョリー氏は話した。「どうやって、そしてどこで給油するか知っているという状態から、充電がどんなものか知らないという状態へと移行します。彼らは家の近くの通りで車を充電するでしょうか、それとも出勤途中に充電するでしょうか?あるいは職場で充電するでしょうか?それがShellと取り組んでいる野心です。ドライバーが選択できるようにし、我々の充電インフラが可能な限りあちこちにあるようにします」。

Shellの英国でのネットワークには950超の充電ポイントがある。ここにはShell Recharge急速チャージャーとハイパワーチャージャー(それぞれ50kWh、150kWh)が含まれ、電気は再生可能エネルギーで賄われている。そして超ハイパワー(350kWh)の充電ポイントのIonityネットワークも含まれる。顧客はOntoで利用できるすべての充電ステーションをOntoのアプリかオンラインマップで見つけることができる。そして全顧客にShell Rechargeカードが発行され、Shellのネットワークにすぐにアクセスできる。

EVサブスクスタートアップと提携するというShellの動きは、ガソリンスタンドから離れ充電ステーションへ向かうという同社の計画と一致している。ShellはロサンゼルスのEV充電デベロッパーGreenlotsを買収した2019年にこの分野に初めて足を踏み入れた。2021年初め、同社は英国のUbitricityも買収し、今後4年間で50万の新規EV充電ステーションを立ち上げる計画を発表した。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Onto電気自動車充電ステーションShell

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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