Daimler AG(ダイムラーAG)やVolkswagen Group(フォルクスワーゲングループ)などの大手自動車会社が共同で設立した、電気自動車用急速充電ネットワークプロバイダーのIONITY(アイオニティ)は、資産運用会社のBlackRock Global(ブラックロック・グローバル)と既存の株主から7億ユーロ(約905億円)の投資を獲得。欧州全域における事業拡大を目指している。
EV用の超急速充電ステーションを欧州各地に設置しているIONITYは、ダイムラーとフォルクスワーゲングループの他、BMW Group(BMWグループ)、Ford(フォード)の4社による合弁事業として2017年に設立され、後にHyundai Motor Group(現代自動車グループ)も加わった。同社は今回の投資により、現在設置されている約1500基の充電器を、2025年までに4倍以上の7000基に増やすことを計画している。
新たに建設される充電ステーションは、高速道路などの主要道路や主要都市の近くに設置され、それぞれの場所で6~12台分のEVを同時に充電できるようにする予定だ。また、需要の高い既存の施設にも、充電器の数を追加していくという。
IONITYは、車両の充電中にドライバーも「充電」できるフルサービスステーションの所有・運営も計画している。同社で「Oasis(オアシス)」と呼ぶこのステーションのコンセプトは、現在の道路沿いある休憩所と似たものだ。
BlackRockは、同社のGlobal Renewable Power(グローバル・リニューアブル・パワー)株式投資ビークルを通じて、IONITYに出資した。自動車関連企業以外からIONITYが資本を受け入れるのは、これが初めてのことだ。BlackRockは4月に48億ドル(約5500億円)の資金を集めており、これは機関投資家の脱炭素技術への関心が高まっていることを示している。
この投資は、有力な投資家たちが、来るべき交通機関の電動化に確信を深めていることも物語っている。BlackRockはこれまで、陸上・洋上風力発電や太陽光発電プロジェクトへの投資を中心に行ってきた。同社がEV充電に興味を示したことは注目に値する。
画像クレジット:Ionity
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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)