Facebookは、トレンディングトピックスで特定の政治的志向を抑制あるいは優先することは、同社の収集ポリシーに反しており、一貫性と中立性を保つためにガイドラインを設けていると語った。これは、ガイドラインからの逸脱があれば、それはトレンド収集のために雇われている契約者の責任であると示唆しているようにもとれるが、ルールが十分に強制されていない可能性もある。
保守的なトレンドがFacebookのトレンディングセクションで抑制されているというGizmodoの記事を受け、FacebookはTechCrunchに宛てた声明で以下のように語った。
われわれは偏見に関する申し立てを極めて深刻に受け止めている。Facebookはあらゆる政治的志向の人々、見解のためのプラットフォームである。トレンディングトピックスには、Facebookで語られている人気の話題やハッシュタグを表示している。一貫性と中立性を保つために厳しいガイドラインを設けている。ガイドラインは、政治的見解の抑制を許していない。あるいは、特定の視点や報道機関を他に優先することも許していない。ガイドラインは、トレンディングトピックスにいかなる報道機関が登場することも妨げない。
複数の元Facebook「ニュースキュレーター」がGizmodoに対して、必ずしも人気のない記事をトップページや検索結果に「注入」するよう指示されたと話した。
これはある意味で理解できる行動だ。なぜならFacebookはトレンドのアルゴリズムを改善しようとしているからだ。もし、重要だがFacebookで大きな話題になっていなかったり、アルゴリズムが拾っていないニュースがあれば、Facebookの編集者が人為的にトレンドに加えたかもしれない。
Facebookは、Facebook自身に関するニュースをトレンドを含めることも妨げていると言われている。それは、自己宣伝を避けるため、あるいはFacebookユーザーがFacebookについて語る傾向にあることを割り引くためとも考えられる。ただしそれは、Facebookに関する否定的な話題も抑制しかねない。
一番気になるのは、トレンディングトピックスの内容を管理する契約キュレーターの政治的志向に合わない記事 ― 特に保守的な記事 ― が抑制されることがあった、という元従業員の証言だ。Gizmodoは、この偏見が上層部から強制されたものであるとは言っていないが、Facebookの中立性ガイドラインはこの問題の発生を阻止してしかるべきだ。
「私がシフトに着いた時、CPACやミット・ロムニー、グレン・ベックやその他人気の保守的記事がトレンディングに選ばれないことに気付いた。それは、キュレーターが記事を評価しなかったためかもしれないが、テッド・クルーズに対する偏見を持っていたためかもしれない」と、匿名希望の元従業員がGizmodoに語った。
同誌は以前の記事で、その同じ「キュレーターたち」とその厳しい労働環境について報じ、同社の劣悪な条件を非難した ― 会議室に何ヵ月も詰め込まれ、Facebookサイトの右上にあるトレンディング枠を埋めるためひきりなしに作業を続けさせられる。
記事は逸話的であり、実際に何が起きているかを知ることは困難だ。Facebookにとって最大の問題は、人間には偏見があるということ ― 政治的な偏見を含めて ― に気付いていない点かもしれない。
トレンドを収集する方法について中立性ガイドラインが設けられているとしても、元々偏見を持つ契約者がチームに入り、ルールを曲げたり破ったりする可能性はある。中立性ガイドラインを遵守させるためには、もっと厳格な監視システムが必要かもしれない。
これは憂慮すべき問題だ。なぜならFacebookは、人々がニュースを発見する主要な方法へと成長しているからだ。発生するトラフィックの大きさは、報道機関にFacebookでニュースを配信するプレッシャーを与える。プラットフォーム自身の偏見は、16.5億人の思考に影響を与えかねない。
実際のところFacebook自身の従業員はリベラル寄りだ。2011年にFacebook本社で行われたタウンホールミーティングで、Mark Zuckerbergがバラク・オバマ氏をインタビューした際、大統領の民主党支持の発言や共和党批判に、従業員らは大きな歓声が上げていた。
2016年大統領選が迫る中、Facebookには民衆を動かす計りしれないな力がある。今後も中立を保っていけることを大衆に納得させると共に、厳しい批判や政治広告費の減少、および情報配信の拠点としての同サービスへの懐疑的見方の高まりを受け入れていく必要がある。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)