Facebookは、インターネットの利用が未だに自由にできない世界の50億人の人々に対して安価なアクセスを提供しようというInternet.orgイニシアチブの主要な後援者だ。TechCrunchが得た情報によると、この努力を大きく前進させるために、Facebookは太陽光発電を動力として大気圏上層に長期間滞空できるドローンを開発しているTitan Aerospaceと買収交渉に入っているという。われわれの情報源によると買収額は6000万ドル程度だという(*)。
このドローンは5年間無着陸で飛行を続けることができるという。Facebookは長期間の滞空能力を生かしてアフリカなどに存在するインターネット・アクセスの空白地帯を追放していこうとするのだろう。FacebookはTitan“のSolara 60ドローンを手始めに1万1000機調達する計画だという。
TitanのUAVは昨年、YouTubeで最初に紹介された。このビデオにもあるとおり、Titanはいわば「大気圏内衛星」で、コミュニケーション、気象観測、資源探査など衛星の役割の多くをはるかに安価かつ柔軟な運用で代替することが目的だ。Facebookはもちろんコミュニケーションの能力の活用を図ろうとしているわけだ。
Solara 50、Solara 60モデルは夜間に内蔵バッテリーのパワーで離陸し、太陽が昇ると太陽光発電を開始して、地上20kmの成層圏まで上昇し、そこに5年間無着陸、無補給で留まることができる。こうした特長は局地インターネット中継ステーションとして理想的だ(さらに詳しく知りたい読者はArs Technicaの記事を参照)。
Titan Aerospaceは非公開企業で、ニューメキシコに研究開発施設がある。シード資金とシリーズA、A-1のラウンドによる資金調達を行っているが、金額は不明だ。2013年にシリーズBのラウンドを実施する計画を発表している。
TitanのCEOのVern Raburnは、Eclipse Aviationのファウンダー、元CEOで、2012年に現CTOのMax Yaneyによって創立された。
20kmという目標高度には重要な意味がある。これはFAA(連邦航空局)の規制対象外になるためだ。昨夏、Fortuneが指摘したように、アメリカにおけるクラスA空域の最高高度は6万フィート(18.28km)で、これより上はアメリカでは法的規制の対象にならない。唯一規制が及ぶのは、そこまで上昇する間だけだ。世界の他の国ではもちろん規制はまちまちだが、Titanが利用されるような途上国ではおそらくそれほど厳しい規制は行われないだろう。
WhatsAppの190億ドルに比べればTitanの6000万ドルは安すぎ?
Internet.orgのプロジェクトに対して、GoogleはLoonという独自のプロジェクトを研究中だ。こちらは飛行機ではなく気球を利用する。以前、TechCrunchはFacebookにもLoonに相当するプロジェクトがあると聞いた。Titan買収の動きはこのプロジェクトの一環かもしれない。
50億人にインターネットを提供するテクノロジーを提供する会社の買収額6000万ドルでWhatsAppが190億ドルというのは奇妙に思えるかもしれない。しかしインターネットの利用をより広げるという点でFacebookの観点からみれば同じことなのかもしれない。
しかし一方で、現在インターネットの利用を阻まれている地域の住民の購買力は極めて低く、大きな売上を得られる見込みは低いのに、なぜFacebookはそうした途上国のインターネット・アクセス拡大に力を入れているのか不審に思う声をよく聞く。Internet.orgを動かしているのは理想主義かもしれないが、Facebookはビジネスを非常に長期的に考えている。スマートフォン経由でインターネットを安価に利用できるようになれば、そうした人々もやがて「知識経済」に組み込まれ、全体として大きな購買力を持つようになると期待している。
Facebookが運用するTitanのドローンを通じて初めてインターネットに参加した人々はFacebookのエコシステムにしっかりと組み込まれ、終生Faqcebookに売上をもたらすだろうというわけだ。
*われわれの最初の情報源は両社の部外者で、情報に正当なアクセス権をもたない人物だった。しかしその後、われわれは買収交渉が事実であることを別途確認することができた。われわれはTitanの取締役、AsherDelung,に(情報源については明かさないまま)インタビューした。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)