Facebook、iOSアプリに「特定の友達とシェア」機能を追加。Snapchatを狙い打ち

友達全員には写真を見られたくない? それはSnapchatがここまで人気を得た大きな理由だ。そしてFacebookは、よりプライベートなシェア方法を活用すべく、今日(米国時間3/17)公開されたiOS版Facebookアプリで、簡単に「特定の友達とシェア」できるオプションを提供し、写真をシェアしたりニュースフィードに表示される相手を、自由に選べるようにした。その選択画面は、Snapchatに似てさえいる。

近況ステータスあるいは写真をシェアする際、その投稿の読者が誰であるかが画面のトップに表示されている。殆どの人は「友達」に設定されているだろうが、タップすると事前に作成した友達リストや個人の名前をSnapchat風の吹き出しから選べる。以前これをするためには、シェアするたびに友達リストを作る必要があったため、使う人はまずいなかっただろう。

2007年以来、Facebookは「マイクロシェアリング」という概念の普及に努めてきた。背景にある理論は、一部の友達だけが見るのであれば、もっと様々なコンテンツをシェアし、もっと頻繁に投稿するだろうというものだ。

問題は、Facebookがユーザーに友達のリストやグループを作らせようとしたことで、それは耐え難くストレスの留まる手間に感じられた。「この男は私の超親友リストに入っていたっけ、それとも地元の友達か、飲み友達か、それとも?」 その結果、Mark Zuckerbergが2010年に言ったように、「殆ど誰もリストを作りたがらない・・・リストを作ったは最大5%で、殆どは1つしか作っていない」。

これは、当時Facebookがグループ機能を再スタートさせた理由の一つだった。最近Zuckerbergは、5億ユーザーがグループを利用していると言った。グループは、特定の話題を共通の興味を持つ人々と共有するのには最適だが、特定の友達とシェアするための道具ではない。Facebookは、親しい友達リストの誰かが投稿すると通知をくれるスマートリストも提供している。さらには、〈知り合い〉リストに加えるべき人の推奨まで始めた。そうすればその人がニュースフィードに表れる頻度が下がる。

かつてPathは、マイクロシェアリング問題に対処するべく、親しい友達だけからなる全く新しいソーシャルグラフを作る機能を提供したが、概して人々は友達を追加しすぎてしまい、結局そんなに多くの人々とシェアしたがらなかった。Snapchatは、投稿ごとに誰とシェアしたいかをずばり選ばせることによって的を射た。

Facebookの新しい「共有範囲」画面(左)とSnapchatの送信画面(右)

今、Facebookが同じことをしている。新機能は短命メッセージでも写真チャット(FacebookはすでにMessengerにその機能を持っている)でもないが、FacebookのSnapchatクローンの失敗作Pokeの後継と見ることもできる。もし成功すれば、気に入った人や興味のある人だけが見るようにするのが簡単になるので、人々はもっとバカな写真や際どい写真をシェアしやすくなるかもしれない。それはFacebookにとって滞留時間やユーザーデータの増加につながり、友達同志の関係を深めることにもなるだろう。

しかし、これも十分考えられるのは、新しい「特定の友達とシェア」機能に誰も気付かず、デフォルトの共有範囲にシェアし続けることだ。新しいシェア方法の追加は、最近のモバイルアプリであまり成功していない。フォトメッセージング機能のInstagram Directは失敗だったし、Snapchatの全体共有方法であるStoriesも大きな波を起こしていない。古いアプリに新しい芸を教えることはできても、人々にそれを覚えて使わせることはずっと難しい。

[Image Credit: iOSVlog]

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


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TechCrunch Japan

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