出し抜けに人の家を訪問するのは礼儀正しいとはいえない。まずテキスト・メッセージを送ってからだ。Facebookがビデオ通話をMessengerアプリの機能として提供することにした理由はそれだろう。今日(米国時間4/27)、FacebookのMessengerのiOSとAndroidアプリに無料のVOIPビデオ通話機能が追加された。セルラー接続、WiFi接続の双方をサポートする。当面の提供地域はアメリカ、カナダ、イギリスなど15ヵ国〔日本は後日〕だが、すぐに拡大されるという。
Facebookの目的は、ユーザーが地球上のどこにいようと、どんなデバイスを持っていようと対面で会話できるようにすることだ。Messengerのビデオ通話なら、サンフランシスコで新しいiPhoneからLTEで接続しているユーザーがナイジェリアで安いAndroidから3Gの弱い電波をつかんでいるユーザーと顔を合わせて会話できる。下は短い紹介ビデオ。
Facebookは2011年にSkypeと提携してデスクトップのビデオ通話を提供したが、やがて独自のVOIPビデオのインフラを構築した。これがモバイルのMessengerアプリに拡張されたことでiOSデバイス同士でしか通話できないAppleのFaceTimeや今となっては古くさいSkype、普及度がいまいちのGoogleハングアウトには恐るべきライバルが誕生したことになる。
Messengerユーザーが6億人、Facebookユーザーが14億4000万人ということを考えれば、このVOIPビデオの規模がいかに巨大かわかるだろう。マーク・ザッカーバーグは先週のFacebookの決算発表の電話記者会見で、Messengerは世界のモバイルVOIP通話の10%を占めていると明らかにした。Facebookの高音質で信頼性の高いVOIP音声通話はすでに通常の通話にとって代わりつつあるが、これにビデオが加われば、このトレンドは一層加速されるだろう。
いかなる形にせよFacebookはMessengerを収益化する計画はないという。
MessengerのFace-To-FaceTime
今日、iOSとAndroidのMessengerアプリにビデオ通話機能が追加されたのは、ベルギー、カナダ、クロアチア、デンマーク、フランス、ギリシャ、アイルランド、ラオス、リトアニア、メキシコ、ナイジェリア、ノルウェイ、オマーン、ポーランド、イギリス、アメリカ、ウルグアイの17ヵ国だ。今後数ヶ月かけて順次サポート地域を拡大していくとう。
ビデオ機能が追加されたユーザー同士でチャットを始めると、紹介ビデオにあるように、右上隅にビデオカメラのアイコンが表示される。アイコンをタップすると上の画像のように相手にビデオ通話開始のリクエストが表示される。相手が承認するとビデオ通話が開始される。カメラは自撮りモードでスタートするが、随時フロント・カメラに切り替えて周囲の景色を見せることも可能だ。
Messengerは接続状況に応じて自動的に画質を調整する。サンフランシスコで私が見たデモの場合、LTEでタワーは2本立っている状態だったが、わずかにピクセルノイズが出た。音声のみのVOIPに切り替えることも簡単で、またビデオ接続を維持するのが困難な接続状態になるとMessengerはそのことを警告してくれる。Messengerの利用は一切無料だが、ユーザーのデータプランを大量に消費する可能性があるので注意が必要だ。できるかぎりWi-Fiを利用するのが賢明だ。
Messengerのビデオで巧みなアイディアは、通話者の一方がビデオ機能を切ることで、他方のビデオ画質をアップさせる機能が組み込まれていることだ。たとえばユーザーが自宅の居間でノルウェイのフィヨルドを航行している友達とビデオ通話している場合、居間の情景などには意味がないので、その送信を停止するとフィヨルドの景色が高画質で楽しめるというわけだ。【後略】
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)