FacebookはSnapchatのように動き、臭い、似ている存在はすべて買収しようとしているという噂の火に油を注ぐような出来事があったもようだ。事情に通じた情報源がTechCrunchに語ったところによると、この夏FacebookはSnowの買収を試みたが不成功に終わったという。このサービスはSnapchatによく似ており、運営しているNaverは時価総額250億ドルの巨大韓国企業で、有名なチャット・アプリ、Lineの背後の存在でもある。
われわれが接触した情報源によれば、Snowにはすでに8000万のダウンロードがあり、さらに毎月1000万ずつダウンロードを増やしているという。この急成長ぶりにひかれたのはFacebookだけではなく、Tencent(巨大チャット・アプリWeChatを運営)やAlibabaも買収を試みたことをTechCrunchはつかんでいる。
Naverはわれわれに対し「Snowが多数の企業からラブコールを受けたのは事実だ」と声明を送ってきた。ただしSnowが買収攻勢を受けたことは確認したものの、買収を試みた会社について具体的な社名は明かさなかった。
Facebookにはコメントを求めたが回答はなかった。
Snowはこの夏、韓国、日本、中国でAndroid、iOS双方のアプリがそれぞれの公式ストアでランキング入りし、合計3000万ダウンロードを集めたときにときにまず注目を集めた。7月にはNew York Timesに長文記事が掲載され、Snow(とNaver)はSnapchatがアジア市場への関心が低いことを好機としていると説明された。これも結果としてSnowへの関心を高めた。
この記事が出た後、Facebookのファウンダー、CEOのマーク・ザッカーバーグがSnowの存在に気づき、Naverのファウンダー、会長のHae-Jin Lee(イ・ヘジン)に電話して買収の希望を伝えた。Naverは7月にLineを日米で同時に上場させ、10億ドル以上の資金を得ることに成功している。しかしイ会長はSnowにはLineなみの将来性があると信じていたためFacebookの申し出を断った。
実際、9月に入ってLineが4500万ドルをSnowに投資するなどしてLineとSnowの連携は強化されている。この際のSnowの会社評価額は1億8000万ドルだったが、誕生わずか1年後の企業にしては悪くない額だ。Lineは日本、タイ、台湾という主要市場以外でのユーザー獲得に苦労している。そこでSnowとの連携が海外市場でのLineの事業拡張に有益だと考えられたのだろう。
SnowにはSnapchatクローン的な性格があるものの、内容には異なる点も多い。
まず第一に、Naverは各地域でサービスのローカライズに真剣に取り組んでいる。これは2011年から2012年にかけてLineが実行した戦略で、このときは韓国と日本でセレブを動員してサービス内に目立つように記事を載せることでサービスの立ち上げに役立てた。【略】
Snapchat — 現在は‘Snap’に改名 —は来年の株式上場に向けて準備中だと広く報じられている。上場されれば同社の時価総額は250億ドル前後になり、40億ドルの資金を調達できるものとみられている。
こうした数字は3年前にFacebookからの30億ドルでの買収の申し出を断ったCEOのEvan Spiegelの決定を強く支持するものになりそうだ。 当時、この決定は間違いだと強く批判されたものだが。
Snowは誕生後、日が浅いため、Facebookが買収失敗を悔やむような巨大な存在に成長するかどうかはまだ不明だ。
現在のところFacebookは自社サービスにリアルタイム・チャット的性格を盛り込むために全力を挙げている。これにはSnapchatからの「インスピレーション」が多数含まれているという。
具体的に見ていくと、Instagram StoriesはFacebook自身がSnapchatの影響を認めている。Facebookのこのサービスは2ヶ月で1億人のユーザーを獲得するという成績を挙げた。これより規模は小さいがFacebookからはティーンエージャー向けのビデオ・アプリ、 Snapchat風のカメラ機能、ポーランドでテストされた MessengerのSnapchatクローン的機能なども出ている。
〔日本版〕Naver会長Hae-Jin Leeに関する日本語記事では「李海珍」という漢字表記がある。ただし本人に対する直接インタビューの記事では「李ヘジン」の表記だった。この記事では姓名ともカタカナ表記にとどめた。
画像: Sean Gallup/Getty Images
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)