退屈なビデオクリップも適切なサウンドをつければ格段にグレードアップする。そこでFacebookはSound Collectionというビデオ編集ツールを発表した。これは多年にわかたレコードレーベルとの交渉の結果実現したものという。FacebookまたはInstagramにビデオクリップを投稿する際、ユーザーは簡単に曲、ボーカル、効果音、インストラメンタルを付加できる。
Facebookによれば、「音楽はヒップホップ、ポップス、ジャズ、カントリーなど幅広いジャンルから選ばれている」という。ただし耳に馴染んでいるような有名な楽曲は含まれていない。Sound Collectionのポテンシャルは大きいが、今のところプロダクトの使い勝手としては平均的なレベルだ。ユーザーがFacebookにビデオを投稿する際に勝手に(著作権を侵害して)有名な曲をBGMにつけるのを根絶するほどの効果はないかもしれない。
Sound CollectionはFacebookの各種の新しいビデオ・ツールの一環で、先月リリースされたウェブのインフルエンサー・ユーザー向けのFacebook Creatorアプリに続くものだ。Facebookはビデオ作成を助ける教育的素材のハブ、 360°カメラの無料貸し出しプログラム、360°ビデオ編集ツールなどを発表した。最終的な目的は「ビデオ・クリエーターのFacebook利用をさらに拡大することだ」と同社では述べている。
Sound Collection
Sound Collection(ここ数日でこのページから全ユーザーに公開される)は高品質の音源(楽曲と効果音)のセットで、ユーザーはFacebookとInstagramにビデオを投稿する際に無料で利用できる。Facebookがあらかじめ著作権者に料金を払ってライセンスを受けているためユーザーは著作権や使用料を気にする必要はない。Facebookによれば今後さらに楽曲や効果音の種類を増やしていくという。残念ながら現在は運営が終了しているが、Twitterが以前公開していたVineのSoundboardに少し似た仕組みだ。
ビデオのクリエーター向けに好みの音源を発見するのを助けるツールが用意されており、ジャンル、ボーカル、ムード、時間などで検索ができる。また気に入ったアーティストを見つけた場合、そのアーティストの他の楽曲を探索することもできる。今回利用できるようになったアーティストにはシンガーソングライターのKiri Tse、インドのパーカッション奏者、Jim Santi Owen、ギタリストで映画音楽作曲家のLyle Workmanなどが含まれる。
今年に入ってNew York TimesはFacebookが2015あたりから大手レーベルと交渉を続けていると報じた。現在Faebookビデオをモニターしており、違法なアップロードをブロックし、著作権を侵害するビデオを発見すると削除している。そこでiMovieでパパの誕生日のお祝いビデオを編集するときに、パパのお気に入りのボブ・ディランの曲を使ったりするとFacebookから削除されることになる。こうした事態を抑制するのもSound Collectionの狙いだという。
ただしレーベルとの交渉は中断されたか難航しているもようで、Sound Collectionのアーティストのリストにはトップ40クラスはいない。Sound Collectionの楽曲ではLyle Workmanがクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルのFortunate Sonをcアコースティックでカバーしているのがいちばんメジャータイトルに近いのではないか。
しかし今後Sound Collectionの利用が増え、Facebookがさらにライセンス料金を支払うようになればビッグネームの楽曲が含まれるようになる可能性はある。【略】
360°ビデオにも注力
一方、今日、Facebook 360という360ビデオのページも新しくオープンした。ここでは360°ビデオを制作するのを助けるツールが各種紹介されている。Facebookが360ビデオをスタートさせたのは2015年にさかのぼる。Facebookによれば、以来、100万本以上の360ビデオが投稿されているという。しかしこれまでは全周ビデオの制作には専用のカメラを用意することを始めとしてさまざまな準備が必要でそう簡単ではなかった。
新しい360ビデオのページにはチュートリアルが掲載されており、360°カメラの入手、360°ビデオの編集ワークフロー、専用のスペーシャル・オーディオなどが説明されている。【略】
新しいコミュニティー・ページにはCamera Loanerプログラムも紹介されており、360カメラを無料でレンタルすることが可能だ。当初レンタルできるカメラはGoPro FusionとZCam S1だがこの数か月の間に他のカメラも追加される。カメラのレンタルが無料というのは魅力的だが、制作されたビデオはFacebookで共有される必要がある。
YouTubeも 2012年からビデオグラファー向け施設のYouTube Spacesをスタートさせているが、今回 Facebookがハードウェアの無料レンタルを始めたのはビデオ分野でもYouTubeのライバルとなるべく真剣に努力を始めたサインだ。【略】しかしFacebookがトップクラスのビデオクリエーターを集められるかどうかはFacoookビデオによって投資したリソースに見合う収益が得られるかどうかだ。この点は今後注目していく必要がある。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)