かつてFacebookでは、少人数のチームがウェブサイトをモバイルに移植していたが、過去2年間の組織変更によって、社内の全部門が「モバイルファースト」になった。今日(米国時間12/4)メンローパーク本社で行われた「ホワイトボードセッション」と呼ばれる小規模の記者発表で公開された2つの組織図によって明らかになった。
下に、同社の古い組織図、新しい組織図が順に貼ってある。
旧 Facebookモバイル組織
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新 Facebookモバイル組織
これらの図は完全なものではなく、Facebookが運営する一部のサービスや、インフラストラクチャー、測定などの内部チームは載っていない。それでも、この会社が変わった道筋をよく表している。
今は、メッセージ、イベント、写真など、Facebookの主要製品のそれぞれを、一つのコアチームが全インターフェース横断で見ていることがわかる。これによって、各チームは製品に集中できるだけでなく、サービスのコードはチームがすべて保守しているので、様々なインターフェースにコードを再利用できる。
Facebookのモバイル技術責任者、Christian Legnittoは、以前の組織ではFacebookのモバイルチームは「常に追いかけていた」が、今やFacebookのiOSおよびAndroidアプリは「モバイル・ファースト&モバイル・ベスト」だと説明する。
たしかに理論的には良さそうに聞こえるが、Facebookの多くの機能は未だにウェブ第一だ。一番明らかなのは、Facebookが2013年1月に公開したグラフ検索で、モバイルでは公開テストすら行われていない。これは一般ユーザーに公開される ― それがFacebookのゴール ― までにはまだ何ヵ月もかかることを意味している。
それでもFacebookは、以前と比べてはるかに強く速くモバイルに取り組んでいる。
新たな社内組織によって、Facebookは決定的に重要なモバイル開発基盤を構築するリソースも手に入れた。例えば、Legnittoが披露したxctoolは、AppleのiOSやMac製品開発を容易にするxcodebuildを置換えるものだ。Legnittoは、「Appleのツール群は良くできているが、個人開発者向けに作られている。われわれの規模では破綻し始めている」と、月間ユーザー数8.74億人、日間ユーザー数5.07億人を指して言った。
これも最近のプロジェクトであるiOSスナップショット・テストケースは、コードを変更した前後2枚のスクリーンショットを分析して、問題のあるUIエレメントを検出することができる。何か他の部分を変更した際に、2つのボタンの間の細い区切線がなくなったことを、技術者は気付かないかもしれないが、このツールなら見逃がさない。
Facebookは、会社設立以来オープンソースにこだわってきた。Facebookのオープンソースプロジェクト責任者であるJames Pearceは、Mark Zuckerbergははるか初期の時代から、PHP、MySQL、MemCacheをはじめとするオープンソース技術に頼ってFacebookを作ってきた、と説明した。
現在Facebookには、ウェブ、データ、インフラストラクチャー、およびモバイルにわたり、90件のオープンソースプロジェクトがあり、計6万5000人のウォッチャーがいる。同社のオープンソースプロジェクトは、1万5000回フォークされ、4万5000回コミットされ、2600人のContributorがFacebookのContributorライセンス契約書に署名している。現在特に人気のあるプロジェクトに、JavaScriptライブラリーのReact、ビッグデータエンジンのPresto、およびPHP executorのHipHop Virtual Machineなどがある。
Pearceによると、Facebookのオープンソースへの深い関わりの理由は、「博愛心」ならびに世界をもっとオープンでつながったものにするという同社のミッションとの一致だという。しかし、これは戦略的にも賢明だ。オープンソースコミュニティーに参加することによって、Facebookは「会社の壁を越えた仮想技術能力を生みだしている」とPearceは言う。
ユーザー向け製品に関して、Facebookは最近大がかりなナビゲーションの変更をiOS 7と合わせて実施し、メッセンジャーアプリも一から作り直した。特に後者は、旧組織ならずっと厄介な作業だっただろう。メッセンジャーはウェブとモバイル間のコミュニケーションを橋渡しするからだ。
この効率の改善はFacebookにとって単なるこだわりの対象ではない。少数精鋭で敏速なスタートアップと戦う上で、すばやさを維持することは決定的に重要だ。Snapchat、WhatsApp、KakaoTalkといった小回りの利くチームが、次々とメッセージングアプリを改善する中、多くを失わずにモバイルで早く動くために、Facebookはこの新組織を必要としている。
Legnitto concluded “We changed how we develop, changed how we ship, changed how we write code, but kept our culture.”
[画像提供:Reuters via Telegraph]
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)