FacebookがWhatsAppに190億ドル注ぎ込んだ理由:ヨーロッパと発展途上市場参入のため

【本稿はJosh ConstineとKim Mai Cutlerの共同執筆】

月間ユーザー4.5億人、新規登録者1日100万人のWhatsAppには、Facebookが国際モバイルメッセージング競争で追い付くためには、あまりにも水をあけられすぎていた。本誌が昨年作った上のグラフを見ればわかる。Facebookは、海外におけるモバイルソーシャルネットワークの要になることを諦めるか、金を頼んでWhatAppがこれ以上大きくなる前に買収するかしかなかった。そして後者を選んだ

Facebookは数週間前の収支会見で、11月に改訂したMessengerアプリの利用が70%増加し、送信メッセージ数も増えていると話した。しかし、その殆どは米国とカナダであると思われる。そこはメッセージングアプリ戦争がまだ決着をみていない。

世界的に見ると、Facebookはメッセンジャー祭りに出遅れついる。Facebookが参入したのは、2011年にBelugaを買収した後のことであり、当時はSMSが極端に弱かったグループメッセージに力点を置いていた。

WhatsAppは2009年、身軽ですっきりして早いモバイルメッセージアプリという正しい焦点と共に登場した。そして、世界のメッセージング市場が驚くほど断片化していた時、WhatsAppは主要な存在を勝ち取ることに成功した ― Facebook Messengerのいない場所で(上のグラフ参照)。

パソコンベースのソーシャルネットワークと異なり、モバイルメッセージングには突出した市場リーダーがいない。それでもWhatsAppは、米国以外のヨーロッパ、インドにおいて完全に市場を支配している。

[アップデート:WhatsAppはいくつかの主要発展途上市場で、Facebookよりはるかに人気が高いことを、Jana Mobileが実施してThe Information(有料サイト)が発表した小規模な調査によるデータが示している。インド、ブラジル、メキシコで、最もよく利用するメッセージングアプリにWhatsAppと答えた回答者は、Facebookと比べて12~64倍だった。いずれもFacebookが必要としている大量ユーザーを抱える大国である。]

またFacebookにとって、例えば中国のメガ巨人Tencentが世界消費者製品として期待するWeChatのような、一部のアジアのライバルを買収することも不可能だ。

このため、WhatsAppがFacebookにとって戦略的興味の対象であったことは明らかで、両社が時折話し合っていたことをわれわれは知っている。

上のマップはOnavoのデータを元にしている。イスラエル拠点の会社で、Facebookが・・・競合情報収集のために買収した。昨年10月にFacebookがOnavoを1億ドル以上で買収したため、それ以降アクティブ利用データは入手できていない。唯一外部者が見ることのできるデータは、アプリストアのランキングだが、これはダウンロード数を示唆するだけで現在の利用量はわからない。

では何が去年起こったのか? WhatsAppは、発展途上市場でFacebookのはるか先を行き、追い付くことが不可能なところまできた。Mark Zuckerbergは今日の投稿で、同アプリがユーザー10億人を達成しようとしていると言っている。

われわれは、Facebookが2~3年前からWhatsApp買収に興味を示していたことを聞いている。2012年に本誌は、FacebookがWhatsAppと買収交渉中であると報じた。しかしこの1年間で、FacebookはWhatsAppとそのチームを手に入れるために必要な額をいくらであっても払うしかないことが明らかになった。

そして、Facebookの問題の答は、結局190億ドルになった。

どうやらこれが、Jan KoumとSequoia Capital(かつてZuckが嫌がらせをしたファンド)の出資者たちが手を打った経緯のようだ。これ以上少しでも待てば、数字は大きくなるばかりだったに違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


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TechCrunch Japan

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