アプリ市場データを提供するApp Annieは1月18日、2017年のアプリ市場のデータやトレンドをまとめたレポートを公開した。
同レポートでは主要国ごとのアプリ市場についてや、「ファイナンス(フィンテック)」「ソーシャル」「ゲーム」など各カテゴリにおけるマネタイズのポイントにいて分析している。本稿では日本市場の話や国内でも注目度の高い分野のトピックを中心に抜粋して紹介する。
中国市場が急成長、日本のアプリ消費支出は13億ドル突破
まず2017年の世界市場動向についてだが、アプリダウンロード数は2015年に比べて60%増加。ユーザー単位で換算すると1ユーザーが毎月新規で2本以上のアプリをダウンロードしたことになるという。
Google Play、App Store、サードパーティのAndroidストアを合計した消費支出についても2015年から2倍以上増えて860億ドルを突破(世界の映画興行収入の195%以上だという)。中国市場の成長が著しいが、アメリカや日本などの市場も顕著に成長。消費支出は今後も増加が見込まれる。
日本単体でも2017年度消費支出は13億ドルを突破。2015年度に比べ60%増加した。
フィンテック、仮想通貨が注目を集める
世界ではもちろん、国内でもモバイルに最適化したフィンテックアプリは増えてきている。口座情報の集約や決済、資産運用など、従来は既存の金融機関や関連の事業会社が担ってきたサービスをアプリでわかりやすく提供するフィンテック企業が注目を集めている。
日本においてもアメリカや韓国には少し劣るが、フィンテックアプリ上位5つの平均MAUは1年前に比べてわずかに増加。急速に拡大していくのは、もう少し先になるのかもしれない。
金融というくくりでは、特に今注目を集めているのが仮想通貨関連のアプリだ。(ここ数日で暴落してはいるが)2017年の1年間でビットコインをはじめとした仮想通貨の価格が大いに跳ね上がった。
日本でも大手取引所がテレビCMを実施。さまざまなメディアで取り上げられたこともあり、アプリストアのランキングでも一時期上位に食い込んだ。
Facebook陣営が圧倒的な影響力も、日本ではLINEが1位
数あるアプリの中でも多くの人が頻繁で使うであろう、メッセンジャーやSNSといったソーシャルアプリ。実際世界で20億人以上がソーシャルアプリで上位5位に入るもののうち、少なくとも2本を毎月利用しているという。
国別で人気のアプリを見ると、FacebookやFacebook Messenger、Instagram、WhatsAppなどFacebook陣営が圧倒的な人気を誇る。そんな中、他の国と異なる様相を呈しているのが日本と韓国、中国だ。
日本では2位と3位にFacebook陣営のアプリが入るも、1位はLINE。韓国と中国に関しては、日本以上に国産のアプリが並ぶ。
成長が続くゲーム市場、日本は2年で60%成長
アプリの消費支出という面ではいまだに大きなシェアを誇るゲーム市場。数年前から巨大な市場ではあったが、現在も拡大傾向にあり国内は2年間で支出額60%増加した。中国に至っては250%増加、Tencentが提供するHonor of Kingsは世界の年間収益ランキングでトップを獲得している。
日本のゲーム市場については国外パブリッシャーが大きな存在感を放ったことに加え、任天堂の各種IPやみんなのゴルフなど、もともと人気のあるIPがアプリに参入した影響も大きいという。
また全体でみるとまだ割合は小さいものの、Pokémon GOのようにARを活用したアプリにも期待があつまる。Nianticが開発中とされているハリー・ポッターを題材にしたARゲームはもちろん、ゲーム以外のエンタメ領域で今後少しずつ影響力を増していくのではないだろうか。
今回取り上げたフィンテックや仮想通貨、ARは日本の投資家達に2018年のスタートアップ・トレンドを考えてもらった際にも、よくあがってきたジャンル。今年は昨年以上に関連のニュースが増えそうだ。