ティーンエージャーに人気のチャットアプリ、Housepartyに強力なライバルが登場した。Facebook Messengerが画面分割で最大6人が参加できるグループ・ビデオ・チャットをスタートさせた。参加者は分割画面に同時に表示され、Snapchat風のパーティー用セルフィー・マスクが着用できる。なお音声、テキスト、GIF、絵文字、スタンプなどを用いたパーティーなら50人まで参加できる。
この機能はMessengerを「仲間内で集まってリラックスできる場所」にすることを狙ったものだ。単に情報を交換するだけならテキスト、音声、写真などで足りるが、相手の顔を見ながらだべることもできるとなれば、Messengerでの滞留時間ははるかに長くなるだろう。Facebookでは「テキスト情報では不十分な楽しい時間を共有するのに最適」としている。
グループ・ビデオ機能はiOS、Android、ウェブで今日(米国時間12/19)、全世界でサポートが開始される。ただしAndroid版はMSQRDによるセルフィー・マスクがサポートされるまでに少々時間がかかる。デスクトップでは最後までサポートされないかもしれない。WiFi接続環境ではデータ量を気にする必要はないが、携帯網の場合、ビデオチャットのデータ量には注意が必要だろう。
われわれはMessengerが2015年に1対1のビデオ通話をスタートさせたときからグループ・チャットが必要だと考えてきた。Facebookでは約1年後に音声のグループ通話をサポートした。最近のデータでは毎月2億4500万人のユーザーがMessengeでビデオ通話をしているというから、グループ・ビデオ・チャットもあっというまに普及するだろう。
これでMessengerは中国などのサービスを除く西側発の有力チャット・アプリとして初めてリアルタイム・グループ・ビデオ機能を提供することになった。AppleのFaceTime/iMessage、Google Duo、Snapchatなどの上を行こうという狙いだ。チャット・サービスのパイオニア、中国のWeChat(微信)はグループ・ビデオを1年年ほど前に追加している。FacebookグループのWhatsAppは先月ビデオ通話機能を公開した。グループビデオはBooyahを通じて可能 [訂正:WhatsAppはネーティブのグループ ・ビデオ・チャット機能を欠いていた。] GoogleのHangoutsアプリは2013年にすでにグループ・ビデオ通話機能をサポートした。しかしGoogleはHangoutsを放置しており、リアルタイム・チャット機能のメインの地位を占めることはなかった。Googleのコミュニケーション・サービスは分断がひどく、Hangoutsもテキスト・メッセージ機能を欠いたまま孤立ぎみだ。
アメリカのティーンエージャーにとってライブ・ビデオ・アプリでいちばん身近なのは身近最近人気が急上昇したアプリ、Housepartyのフォーマットだろう。このアプリはMeerkatの製作者によって開発された。われわれの得た情報だと、Housepartyはすでに一日あたりアクティブ・ユーザーが120万人に上っている。これと同時に“livechill”〔ライブ・ビデ・オアプリにグループが集まってリラックスする〕が流行語になった。Facebook Liveなら大勢の人にライブでビデオを公開できるが、このようなパフォーマンスはテレビ放送的で実行すると非常に疲れる。Housepartyは一時 iOSアプリのトップ5に入るなど人気が急上昇し、Sequoiaがリードするラウンドで5000万ドルの資金を集めている。
Messengerのグループ・ビデオはこれとは動作が多少異なるが、デザインは似ている。Housepartyの場合、ユーザーがログインすると自動的に自分のビデオ・ルームに入り、そのことがHousepartyに登録している友達に通知される。Messengerの場合は相手を個別にビデオ・チャットに招待する必要がある(既存のグループ・チャット・スレッドからでも可能)。
Messengerの場合、ログインした人数が4人までの場合、参加者は4分割された画面に同時に表示される(Housepartyの場合は8人)。4人から6人の場合、Messengerの表示はギャラリー・フォーマットに代わり、現在話しているメンバーが大きく表示される。他のメンバーは小さいサムネールで画面下部に表示される。ビデオ・チャットが可能なのは最初の6人までで、以降50人までの参加者は音声とスタンプなど従来のMessengerの方式で参加できる(ビデオ機能は利用できず、ギャラリーにも表示されない)。
グループ・ビデオのサポートでMessengerはますますフル機能のコミュニケーション・ツールとして機能するようになってきた。「オンライン中(Active Now)」などの機能と合わせてMessengerの方が次第にリアルタイム・ソーシャル・ネットワークの役割を果たし、Facebook本体は既存のコンテンツの拡散や消費に特化するようになるのかもしれない。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)