GMの自動運転車子会社で、ソフトバンク・ビジョン・ファンド、マイクロソフト、ホンダも出資しているCruise(クルーズ)は、ハンドルを握る人間の安全管理者がいないテスト車両で乗客を運ぶ許可を取得した。
この許可証は、CPUC(カリフォルニア州公益事業委員会)がドライバーレス・パイロット・プログラムの一環として発行したもので、自動運転車メーカーが商業的な運用を開始する前に満たさなければならない規制要件の1つだ。この許可証は重要だ。Cruiseは許可証を取得した最初の会社となった。しかし、この許可証に基づくテスト用の自動運転車では乗客に料金を請求することはできない。
「カリフォルニア州で乗客向けの商用サービスを開始するためには、カリフォルニア州DMV(車両管理局)とCPUCの両方から商業許可証を発行してもらう必要があります。私たちは本日、カリフォルニア州PUCから、乗客の輸送をテストするためのドライバーレス自動運転サービス許可証を最初に受け取ったことを光栄に思います」と、Cruiseの政府担当ディレクターであるPrashanthi Raman(プラシャンティ・ラマン)氏は、TechCrunchに対してメールでの声明で述べた。
自動運転車のテストと最終的な運用開始を決定する規制機関は、CPUCとカリフォルニア州DMVの2つ。カリフォルニア州DMVは、安全運転者の有無にかかわらず、自動運転車のテストを監督する。約55社が安全運転者付きの自動運転車のテスト許可を取得した。人間が運転しないドライバーレス・テスト許可証は、カリフォルニア州で商用のロボットタクシーや配送サービスを開始しようとする企業にとって新たなマイルストーンとなり、必要なステップとなっている。AutoX、Baidu、Cruise、Nuro、Pony.ai、Waymo、WeRide、Zooxは、DMVからドライバーレス許可証を取得した。
DMVでの最後のステップは、Nuroだけが達成した運用開始許可だ。この許可により、Nuroは商業規模での運用が可能になる。Nuroの車両は乗客を乗せず、貨物だけを積載できるため、CPUCの許可プロセスを回避できる。
CPUCでは「Drivered」と「Driverless」という許可証があり、いずれも企業に自動運転車へ客を乗せることを許可する。Aurora、AutoX、Cruise、Deeproute.ai、Pony、Voyage(Cruiseに買収された)、Waymo、Zooxなどが「drivered」の許可を得た。Cruiseはドライバーレスの許可証を最初につかんだ企業だ。
将来的に、ロボットタクシーでシャトルバスを運行し、乗客に乗車料金を請求したいと考える企業は、DMVとCPUCからこれらの許可をすべて取得しなければならない。
「CPUCの自動運転車乗客サービスパイロットプログラムにおける最初の無人運転許可証が発行されたことは重要なマイルストーンです。自動運転車は、個人のモビリティニーズを解決し、道路の安全性を向上させ、州内の商品を持続的かつ効率的に移動させることで、交通システムやコミュニティを変革する可能性を秘めています」と、Genevieve Shiroma(ジュヌビーブ・シロマ)コミッショナーは声明で述べた。「自動運転車の効果的な運用開始は、車両の製造、メンテナンス、サービスのビジネスモデルを変革し、カリフォルニア州の労働力に新たな雇用と産業を創出することにもつながります」。
CPUCは2020年、長い規制上の手続きをパスすれば、許可された企業が自動運転車によるライドシェアサービスを提供し料金を請求できる2つの新しいプログラムを承認した。この決定は、自動運転車業界がCPUCに対し何カ月にもわたって働きかけた結果だ。業界は、無人運転車による料金徴収とライドシェアの提供を可能にする規則変更を検討するよう働きかけてきた。
CPUCによると、Cruiseは最終的にパイロット版に参加する他の企業とともに、ドライバーレス自動運転車乗客サービスを提供する車両の運行状況について、四半期ごとに報告書を提出しなければならない。また、ドライバーレス運行における乗客の安全を守るための計画をまとめた乗客安全計画を提出しなければならない。
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カテゴリー:モビリティ
タグ:Cruise、カリフォルニア、自動運転、ロボタクシー
画像クレジット:Cruise
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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi)