Google、当面の間はGlassを使った顔認識アプリケーションの提供を認めず

Google Glassの普及を目指すのであれば、Google Glassが実現してしまうかもしれない不気味さというのを、丁寧に潰していく必要があるのだと思う。この度Googleが行った発言も、「悪を成さない」という方向から、薄気味悪さを減少させようと考えてのことだと言えよう。

Googleの発言とは、Glass G+ページに掲載された、Googleの公式発言のことだ。Glassを使って、周囲の人々の顔認識を行うようなアプリケーションの開発を認めないとするものだ。

Googleは以前より、現時点での顔認証の実現については慎重な姿勢を表明しており、今回の発言もその線に従うものである。Google GlassのディレクターであるSteve LeeもNew York Timesに対して同様の話をしている。今回のアナウンスによりGoogleは、開発者たちに対しても、顔認証を行わないようにという明確な指示を出したわけだ。

もちろん、Googleが顔認識技術の全てを将来に渡って否定したということではない。顔認識技術を実装する前に、きちんとしたプライバシー保護ルールの成立が必要であると考えているのだ。プライバシー保護ルールの実現はまだ先の話になりそうで、Glassが忘れてしまった知人の名前を教えてくれるようになるのにも時間がかかりそうだ。

今回のアナウンスは、プライバシー保護を訴えていた人にとっては勝利ということになるのだろう。ただ、Glassを常備型情報認識デバイスとして活用することを目指して事業を始めた人々もいた。たとえばサンフランシスコのLambda Labsなどは顔認識および事物認識のAPIの提供を行う予定であるとアナウンスしていた。このAPIを使えば、認識関連のコマンドを簡単に自前のアプリケーションで実装できるようになるはずだった。Lambdaの共同ファウンダーであるStephen Balabanは、GlassのAPIを使って実現できるものである以上、顔認識が明確に禁じられているわけではないはずだとして、一般向けAPIの開発に乗り出していた。しかし希望的観測も潰えることとなったわけだ。新しくなったGlassのディベロッパーポリシーを引いておこう。

カメラおよびマイクを利用して、利用者自身以外の人物の情報を取得するような使い方はできません。即ち、顔認識および声紋認識のようなことを行うことはできません。こうした技術を用いるアプリケーションについては、当面の間は非承認といたします

但し、顔認識などを利用しない形での個人認識については問題ないとしているところもあるようだ。たとえば3月にはGoogleも部分的に資金拠出を行なっているデューク大学のプロジェクトについてのニュースが流れた。こちらは顔を使うのではなく、洋服やアクセサリなどの特徴(fashoin fingerprint)を用いて個人を認識するという技術だ。望むときにだけ外部に対してプライバシー情報を公にすることができるという意味で、こちらの個人認識技術は広く受け入れられ得るものであると言えるかもしれない。個人情報の流出を止めたければ、服を着替えるだけで良いのだ。

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(翻訳:Maeda, H)