今日(米国時間11/19)、Googleは意表を突いた動きを見せた。Googleはエンタープライズ向け開発プラットフォームを提供するスタートアップ、bebopを買収すると同時に、そのファウンダーであるDiane GreeneをGoogleのエンタープライズ・クラウドビジネスのトップに就けた。
Greeneにはこの職に対して十分過ぎるほどの経歴がある。Greeneはまず第一にVMwareの共同ファウンダー、CEOだった。またGreeneはGoogle(現在はその親会社、Alphabet)の取締役だ。またGreeneのbebopはGoogleが買収するまでほとんど誰にも知られず、ステルス状態で運営されていた。
Googleはこの任命をCEOのSundar Pichaiが発表した。Pichaiによれば、 Greeneは新たに統合されたエンタープライズ・クラウド事業全般を指揮することになるという。 エンタープライズ・クラウドにはGoogleのクラウド・プラットフォーム全般、Google Appsと新たなビジネス向けプロダクトに加えてそのクラウドのエンジニアリング・チームなどがすべて含まれる。Pichaiによれば、今回新たにマーケティングとセールス部門が加えられたという。
PichaiはGoogleクラウドはFortune 500企業の60%で利用されていると述べているものの、これまでのGoogleのエンタープライズ・クラウドに対する取り組みには戦略的な一貫性が欠けていたことも事実だ。
Constellation Researchのファウンダー、 R Ray Wangは Greeneの就任は VMwareでの経歴を考えるとGoogleのエンタープライズ・ビジネスにとってきわめた望ましいとして、「Googleは、消費者目線でユーザー体験を考え、それをエンタープライズ級のプラットフォームに拡張できる思考〔ができるトップ〕が必要だ」とTechCrunchに語った。
ベンチャーキャピタルのGeneral Catalystのゼネラル・パートナーであり、元VMwareのCTOだったSteve Herrodも「彼女はたいへんな才能の持ち主だ。Googleのビジネスは大きく変わるだろう」と、この意見に同意した。
Googleはクラウド・ビジネスのパイオニアとして大きく先行しながら、これまでライバルのAmazon Web ServicesやMicrosoft、IBMとの競争で苦戦していた。
エンタープライズ面でGoogleは早くからビジネス向けのパッケージ、Google Apps for Workを提供していたが、この7月に大口顧客であったGEが30万人の社員が使うクラウド・ツールをMicrosoft Office 365に乗り換えるという痛手を被っている。
この打撃を反省してか、Googleは去る10月に、他社のクラウドサービスと契約している企業は無料でGoogle Apps for Workに乗り換えができるというプロモーションを開始している。
GoogleにはライバルのAWSやMicrosoftと競争する体力は十分あったが、これまで大企業を深く理解し、戦略的思考ができるリーダーシップに欠けていたといえるかもしれない。
さらにGoogleのPichaiはブログ記事でGreeneが起業したスタートアップ、bebopの買収したことについて、「同社の開発したプラットフォームはエンタープライズにとって導入、維持管理が簡単であり、アプリを作動させるのに適している。Googleのクラウド・プラットフォームの全域で統合を進めることを助けられる」としてl単にGreeneを獲得するための買収ではなかったことを強く示唆した。
Greeneは3年前からGoogleの取締役の一員であり、今後もその役割は継続する。Google内でGreeneはPichaiに直属する。またbebopチームは買収手続きが完了次第、全員がGoogleに加わることになるという。
画像 Robert Scoble/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE
(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)