今朝(米国時間8/15)、GoogleはMicrosoftのYouTubeのWindows Phoneアプリをアクセス禁止 にしたことを認めた。これはアプリが発表されてから50時間後の決定だった。Windows Phoneユーザーは当然ながら失望している。
いったいどういう事情があったのか? ここ数時間、私が状況を調べてみたところ、以下のようなことがわかった。
Microsoftが新しいYouTubeアプリをWindows Phone向けに最初に発表したのは5月だった。 Googleはこれに不満を抱いた。このアプリはGoogleの配信する広告を正常に表示せず、ビデオのダウンロードが許されていた他、Googleブランドの表示もGoogleが望むような仕様になっていなかった。Microsoftはいったんアプリを引っ込め、両者はアプリの修正に向けて協力していくことで合意した。
それなのに修正されたはずの新アプリが再度、アク禁となってしまったわけだ。問題の原因は、GoogleがアプリがHTML5で開発するよう要求したのに対し、Microsoftは機能面ではGoogleの3つの要求を容れたものの、Windows Phoneプラットフォームの技術的な制約のために不可能だとして、あくまでネーティブ・コードで開発を続行した点にある。
MicrosoftはまたGoogleに対して「将来、Windows Phone側の準備が整い次第HTML5に移行する」ことを約束した(つまりMicrosoftはWindows Phoneのメジャー・バージョンアップに取り組んでいる)。
しかしこの点に関して両者の合意ができないまま、Microsoftはアプリを公開してしまった。当然Googleは不快になり、YouTubeへのアクセス権を剥奪した。またMicrosoftはGoogle自身が利用しているモバイル広告APIへのアクセスを要求していたが、Googleはこれも却下した。
Googleは「YouTubeアプリの開発者は全員が同一のガイドラインに従うべきだ」というコメントを発表した。つまり全員がHTML5で開発せよということだ。それは理にかなっているように聞こえるが、全員というのはGoogleには適用されない。Google自身のiOS向けとAndroidのYouTubeアプリはネーティブ・コードで記述されている。
しかしそのぐらいでGoogleはたじろがず、Microsoftに「そいつをHTML5で書け」と要求した。そこでMicrosoftは困難な立場に立たされた。Windows PhoneにきちんとしたYouTubeアプリが必要なのはもちろんだが、Windows Phoneがアップデートされるまで正常に動作するYouTubeアプリはHTML5で書けない。そこでMicrosoftはGoogleにアク禁にされる可能性が十分あるのを知りながらネーティブ・コードのアプリを一方的に発表するという少々図々しい戦術を取った。で、予想どおりGoogleはアク禁にした。
テクノロジー界隈では「事実は小説より奇なりだ」。
いい迷惑なのは何百万人もWindows Phoneユーザーだ。もちろん、モバイル版Internet Explorerを使えばWindows PhoneでYouTubeを閲覧するのは可能だ。今後どう決着がつくか予想はできない。ともあれ今後もGoogleとMicrosoftは小競り合いを続けていくことになるだろう。
アップデート: MicrosoftはHTML5問題を詳しくブログ記事で説明している。
[画像:Flickr]
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)