GoogleがOpenStackの公式スポンサーに、Kubernetesのデファクトスタンダード化がねらい

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GoogleがOpenStack Foundationに、このオープンソースプロジェクトのいちばん新しいスポンサー企業として参加する。今日(米国時間7/16)両者が、そのことを発表した。Googleはこれまでもさまざまなプロジェクトで、OpenStackと非公式に協力してきた。それはたとえばアプリケーションカタログMuranoやコンテナオーケストレーションサービスMagnumなどだが、これからは実際に一部の技術者をこのプロジェクトに投じていく。

それほど意外でもないが、Googleの貢献はLinuxコンテナ方面が中心となり、中でもとくに、Googleで孵化したコンテナ管理ツールKubernetesをOpenStackに統合することに注力されるだろう。

企業スポンサーとしてのGoogleはOpenStackに毎年25000ドルの支援を提供していく。OpenStackのスポンサーのプラチナランクとゴールドランクは数が限られていて、たとえばゴールドは24社までだ。OpenStackの企業スポンサーには、Alcatel-Lucent、Citrix、Comcast、Cray、GoDaddy、Fujitsu、Oracle、SAP、Nokia、そしてLinux Foundationなどが顔を揃えている。それらの中でGoogleの貢献額は(Googleにしては)小さい方だが、同社はこれまでもこのプロジェクトに深く関わってきているから、今回の‘入会’はほとんど形式的な行為にすぎない。

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GoogleのCloud PlatformのプロダクトマネージャCraig McLuckieはこう語る: “OpenStackは完全にすべてが揃った形(full stack)のプライベートIaaSクラウドを作っている強力なコミュニティだ。コンピューティングの未来を考えた場合には、クラウドネイティブな(最初からクラウドの)コンピューティングに対する企業の関心が大きくなっていることを、無視できない。しかし元々このモデルは、オペレーションを全インターネットのサイズにまでスケールしなければならないインターネット企業が開発したのだ”。つまり、Googleのような巨大インターネット企業がOpenStackを支えるのはむしろ当然、というわけだ。

また彼によると、安価なコモディティハードウェアをたくさん使ってデータセンターを構成するGoogleのやり方が、Google自身とそのほかのインターネット企業にとって、分散システムの運用負担を大幅に軽減している。…これもまた、企業がOpenStackに期待していることだ。彼曰く、“このようなアプリケーション管理のやり方が、一般企業にとっても有効であることは実証されつつある。しかし現状では、移行を阻む障害が、各企業において大きすぎる。Googleはコミュニティを支援することを通じてこのような移行を現実に新しいパラダイムにし、オープンソースの世界できわめて活発に活動してきた。たとえば次世代型のコンテナオーケストレータKubernetesも、Googleはオープンソースとして作ってきた”。

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だからGoogleのスポンサー参加は、同社のCloud Platformで近々OpenStackがサービスとして提供されることを意味してはいない(ユーザ自身がGoogleのサーバ上でOpenStackを動かすことはもちろん可能)。おそらくGoogleのねらいはむしろ、OpenStackと自社のプラットホームの両方でKubernetesをコンテナ管理のスタンダードにし、企業がオンプレミスのOpenStackクラウドから、スケールアウトのためにGoogleのパブリッククラウドに移行する場合のタスクを、完全にスムースにすることにある。

コンテナの役割はOpenStackのコミュニティでもかなり前から議論されており、最新のリリースではコンテナが正式に統合された。VMなどそのほかの新しい技術も、過去に同様の経過をたどってOpenStackに統合されてきた。OpenStackのCOO Mark Collierがバンクーバーで行われたOpenStackカンファレンスで、OpenStackは自分のことを統合化エンジンだと見ている、と言った。Collierは今日の発表声明の中でも、“OpenStackはユーザがVMのような実証済みの技術や、コンテナのような新しい技術を自由に動かせるためのプラットホームだ。Googleはコンテナおよびコンテナ管理に関する比類なき技術力で、コミュニティに貢献しようとしている。Kubernatesのような実証済みのオーケストレーションエンジンにより、コンテナのデプロイメントが大幅に加速されるだろう”、と述べている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a.
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TechCrunch Japan

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