GoogleのGame Builderはマルチプレイヤーゲーム開発自体をゲーム化する

GoogleのArea 120チームは、かなり実験的なプロジェクトに取り組む社内のインキュベーターだ。米国時間6月13日に、PCとmacOS上で無料で気軽に使えるGame Builder発表した。プログラミングができなくても、オリジナルの3Dゲームを開発できる。Game Builderは、今のところValveのSteamプラットフォームからのみ入手可能となっている。試してみるにはSteamのアカウントが必要だ。

Game Builderをダウンロードして起動すると、まず目的のゲームの画面サイズを聞いてくる。その後、新たなプロジェクトを作成するのか、既存のプロジェクト、あるいはサンプルプロジェクトを開くのかを選択すると、すぐにゲーム製作を始められる。付属するサンプルプロジェクトとしては、一人称視点のシューティングゲームやプラットフォーム型ゲームがある。また、より複雑な動作をプログラミングするための独自のカードシステムのデモも含まれている。

メニューシステムや、実際のゲーム構築操作には慣れが必要で、すぐに直感的な操作ができるわけではないが、しばらく使っているうちにはコツが分かってくるだろう。デフォルトでは、全体的なゲームデザインの雰囲気は、どうしてもMinecraft風のものとなってしまう。しかし、どのようなゲームを作るかは、完全にユーザーに委ねられている。ただこのツールは、小さな子供がゲームのプログラミングを始めるのに適したもののように感じられなかった。というのも、作業は比較的多くのテキスト情報を扱う複雑なものだからだ。

より複雑な動作を実現するには、Game Builderならではのカードベースのビジュアルプログラミング環境が使える。これはかなり直接的な方法だが、慣れるにはそれなりに時間がかかる。Googleによれば、3Dのレベルを構築するのは、それ自体ゲームで遊ぶようなものだという。ゲーム環境の中で何かを構築していくことを考えると、それにも一理あるだろう。しかし、ゲームで遊ぶようなものだとは言っても、必ずしも簡単なことだとは限らない。

このツールのすごいところは、マルチプレイヤーゲームを作ることができることで、しかも友達とリアルタイムの共同作業でゲームが作れることだ。

これまで、ドラッグ&ドロップのゲームビルダーは、かなり機能が限られるという印象があった。Area 120チームは、JavaScriptの使用を可能にすることで、これを限界を打ち破ろうとしている。あらかじめプログラムされた機能では実現できないことを、JavaScriptで記述できるようにしたのだ。また、Googleの3Dライブラリ、Polyのオブジェクトを利用して3Dレベルをデザインし、独自に構築できるようにしている。

このところGoogleがゲームをかなり重視するようになっているのは周知の事実だ。今年の後半には、Stadiaというゲームのストリーミングサービスを開始できるよう、準備を進めている。今のところ、両者の間には何の関係もないように見える。しかし、Stadia上でGame Builderが使えるようになっても、何の不思議もない。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。