Huluは米国時間5月20日より、ここ数年で最大規模のデザイン変更を展開し始めた。同社のデザインはより標準化された、いわばNetflix(ネットフリックス)のようなユーザーインターフェイスに一新される予定だ。コレクションはホーム画面内に縦方向に配置され、コレクション内のタイルはスクロール可能で、横並びに配置されている。しかし、同社はNetflixのクローンを目指したわけではない。Huluは編集画像を用いて選択した作品を強調表示するこれまで通りの機能に加え、さまざまなタイルサイズでおすすめのコンテンツ情報を伝える新たな機能を追加した。
Huluはまた「TV」、「映画」、「スポーツ」などのカテゴリーを画面の上部に移動させ、トップ部分のナビゲーションを簡素化。ユーザーが視聴したいコンテンツタイプが簡単に絞り込めるようになった。
ライブTVのローンチと共に実施された、同社にとって初となる2017年の大規模デザイン変更に続いて行われる今回のリニューアル。当時のアップデートはHuluを他のストリーミングサービスと差別化させるのに一役買ったが、ユーザーインターフェイスが複雑になりすぎるという問題も併発した。Huluの顧客フィードバックフォーラムには、インターフェースの操作が難しすぎてレイアウトがわかりにくいという苦情が多数寄せられた。
今回の変更は、Huluのインターフェースに改善の余地があったことを十分に理解した上でのものだろう。また、Disney+(ディズニープラス)やESPN+(イーエスピーエヌ・プラス)など、ディズニーが所有するその他のサービス間を行き来するユーザーにとって操作が簡単になるようデザインされたものだと同社は述べている。
「約3年前に展開したデザインリニューアルはかなり大胆なものでした」と同社の製品管理ディレクター、Jason Wong(ジェイソン・ウォン)氏は言う。「人々がストリーミングにより慣れ親しむにつれ、スタンダードが形成されたのだと思います。これはディズニーファミリーのみに言えることではありません。大多数のユーザーが3つから5つの異なるサービスを使用していることが分かっており、これらのサービスの全てがリビングルームにあるデバイスにこの方向性を採用しています」。
ディズニーの他のストリーミングサービスとの統一性を高めるという考えはリニューアル計画の一部としてあったが、Huluによると全体的な再設計プランは1年半前から進んでいたと言う。1年半前と言うと、ディズニーがFoxを買収しHuluの運用管理をするようになる前である。
今回再設計されたユーザーインターフェイスは、他のストリーミングサービスで使用されている方法とHulu独自の機能を組み合わせたものだ。
たとえば、コンテンツ整理には横にスクロールできる一般的に馴染み深いデザインを取り入れたが、以前と同じようにタイトルは印象的な映画風の画像とともに目立たせて表示し、タイトルデザイン、カラーサンプリング、大きなタイルにあしらわれたグラデーションデザインなどはそのまま維持している。ただし、新しいインターフェースでは、Huluのコンテンツのすべてがこの大きなテンプレートに組み込まれるわけではない(以下を参照)。
代わりに、Huluのオリジナル作品や人気番組などの新しいコンテンツにユーザーを引き付けるために、大きなテンプレートが使用されている。現在視聴中の番組や「お気に入り」に入れたコンテンツなど、より身近なコンテンツは通常そのようには表示されない。
Huluの新ホーム画面を下にスクロールしていくと、コンテンツがさまざまなサイズのタイルに分割されていることが見て取れる。大きな冒頭のテンプレートに加え、ミディアムサイズやより小さな標準サイズのテンプレートなどが全体を通して現れる。このデザインによってユーザーを効果的に引きつけ、ユーザーは大量の作品のリストをむやみにさまようことなく、おすすめの作品などを簡単に見つけることができるようになる。
さらにHuluは、推奨エンジンを用いてコレクションとタイルの選択に役立てている。画面上のすべてのモジュールには編集キュレーションやアルゴリズム、またはその両方の組み合わせが使用されている。
ホーム画面の上部に「あなたにおすすめの映画」や「あなたにおすすめのTV」などのコレクションが全ユーザーに向けて表示されるが、下にスクロールするにつれ、提案されるコレクションは個人の興味に合わせてよりパーソナライズされたものになる。Netflixにある「〜をご覧になったあなたへ」ほどHuluのコレクションは細やかではないが、ユーザーが視聴しているコンテンツに基づいた提案ができるよう強化し続けている。
たとえばSF映画の一覧において、SF映画を頻繁に観るユーザーにはそのユーザーがすでに視聴したSF映画やマイナス評価をした映画がそこから取り除かれている場合がある。また、SF/ホラーのような見たことのないサブジャンルからもそれらを削除し、より頻繁に見ている別のサブジャンルからそれらを宣伝する場合もある。
Huluの編集画面では、特定の作品を最初にランク付け(または範囲内で)をすることもできる。あるジャンルにとって目玉になるような作品が新たにリリースされる場合など、その作品を大きく宣伝したい場合などにこの機能が活躍する。
この結果として、個人の好みに基づいてパーソナライズ、ランク付けされた、ヒューマンキュレーションからも恩恵を受けた一連の提案が実現するわけだ。
Hulu副社長兼製品管理責任者であるJim Denney(ジム・デニー)氏によると、ユーザーインターフェースのデザイン変更によって、ユーザーがストリーミングサービスをより簡単にナビゲートできるようになるだけでなく、作品の検索方法も改善すると言う。
「私たちが改善したかったことの1つは見た目の密度に関する点です。既存のサービスの中でもHuluは最大のカタログ数を誇っているので、カタログをより見やすくしたいと考えていました」とデニー氏は説明する。「現在のユーザーインターフェイス上では、あることを実行するための方法がいくつか存在します。ユーザーが迷子にならないように、どの方法をとるべきかがより明確になるように、こういったギャップを埋めたいと考えています」。
これらの変更は何年も前からのユーザーの苦情をもとに取り組んできたものであり、今後のさらなる改善のための土台を築き上げた。
将来的にHuluは個々のユーザーに向けて、おすすめしたい作品だけでなくその表示方法にも推奨エンジンを活用しようと考えている。つまり推奨エンジンが大きいモジュールや小さいモジュールに表示される作品を選択したり、それらのモジュールがいつどのように表示されるかを選択したりするということだ。例えば新規ユーザーの画面には既存ユーザーの画面と比べて、Huluの人気番組を宣伝するためより多くの大きなタイルが表示されるかもしれない。Huluは2021年中にこの機能を展開できるようにする予定だ。
Huluの新たなインターフェース展開は今週から始まり、最初はtvOSとRokuに登場する。7月には他のプラットフォームや、より大きなユーザーグループに向けて拡大する予定だ。
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Category:ネットサービス
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(翻訳:Dragonfly)