自動車メーカーのHyundaiは、同社も自動運転車をめぐる競争に喜んで参加することを表明した ― しかし、彼らのアプローチは他社とは異なる。個人が所有するクルマにも搭載することが可能なテクノロジーを一般の人々にとって手頃な価格で提供するというアプローチだ。
Hyundaiの自動運転テクノロジーがデビューしたのは今週のことだ。同社は1月に開催されるCESに先がけ、ラスベガスの公道で同社初となる自動運転車の試乗会を開いている。Hyundaiが今回使用したテスト用の自動運転車は、2016年に販売を開始したIONIQをベースに開発されている。同社のプロトタイプはノーマルのIQNIQと驚くほど似ている ― 他社の自動運転車に搭載されているような「大きな冠」、つまり、上部にある大きなセンサーが無いのだ。
だからといって、Hyundaiのクルマは目隠しをして走行しているという訳ではない。このクルマにはフロントガラスの裏に4つのカメラが搭載されている。その他にも、クルマの前方と左右を感知するLiDARユニット、前面に設置された中長距離レーダー、クルマの後部を感知するレーダーなどが搭載されている。それでも、たとえばUberの自動運転車などと比べれば、かなり少ない装備だといえる。このHyundaiのアプローチには意味がある:センサーから入るインプットの量が少なければ少ないほど、それを処理するコンピューターの性能は低くて済む。そして、最終的にはシステム全体のコストも下がるというわけだ。
センサーから入るインプットの少なさを補うために、このクルマはダウンロード可能な高精度のマップデータを利用している。つまり、Hyundaiの自動運転車を公道で走らせるためには、その地域のマップデータが事前に作成されている必要がある。だが、Engadgetの記事によれば、マップデータをダウンロードしたHyundaiのクルマは歩行者などの障害物を軽々と避けることができたという。少なくとも、ラスベガスの試乗会ではそうだった。
他社では、自動運転テクノロジーをVolvoのような高級車に搭載するハイエンドのオプションとして位置づけていることが多い。その一方で、Hyundaiのアプローチが上手くいけば、安価なクルマにも自動運転のテクノロジーを搭載することが可能になるかもしれない。
Hyundaiによれば、同社がこれまで取り組んできた先進運転支援システム(ADAS)が同社の自動運転テクノロジーの開発に寄与しており、2019年から2021年までには搭載するセンサーの標準化を目指すとしている。しかし、完全な自動運転車が誕生するまでには、まだ越えるべき障害が多く残されている ― 技術的な問題はもちろん、規制に関する問題や、そもそも人々に受け入れられるのかという問題もある。だから、一般の人々が自動運転車を利用するのは、まだ先の話になるだろう。
それでも、Hyudaiは将来的なマスプロダクションを視野に入れている。特に、自動運転車に搭載されるLiDARユニットなどのコストが下がってこれば(その兆候はすでにあるが)、それを達成できる可能性は大いに高まることだろう。富裕層だけでなく、一般の個人でも手の届くテクノロジーを開発することは、高潔な目標であるとも言える。TeslaのModel3を見ると、同社もHyundaiと同じ目標を達成することを目指しているように感じる。しかし、自動運転テクノロジーを安価に、かつ大規模に提供するという点においては、Hyundaiのアプローチに軍配が上がるのかもしれない。
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