お部屋”探され”サイト運営のietty、YJキャピタルとインキュベイトファンドから約2億円の資金調達

不動産ポータルサイト「ietty」を運営するiettyが、YJキャピタルとインキュベイトキャンプから総額約2億円の資金調達を実施した。また今回の調達にあわせて、YJキャピタル代表取締役の小澤隆生氏とインキュベイトファンド代表パートナーの和田圭祐氏が社外取締役に就任している。同社はインキュベイトファンドのインキュベーションプログラムでの最優秀賞獲得を契機にサービスをスタートした。2013年10月にはアイ・マーキュリーキャピタルから約5000万円の資金調達を行っている。

iettyは“お部屋探されサイト”をうたう不動産ポータルサイトだ。賃貸物件を探すユーザーがFacebookアカウントでログインし、引っ越しの希望条件を入力すると、その条件に合わせてiettyのパートナーである不動産業者がユーザーに物件を提案してくれるというもの。ユーザーはサイト上のチャットでやりとりしながら物件を探して、内覧の予約や業者への来店の調整ができる。

これまでの不動産ポータルサイトではユーザーが自ら物件を探す必要があったが、iettyでは不動産業者が提案をしてくれる。まさに「お部屋探し」でなく「お部屋探され」なのだ。またietty代表取締役社長の小川泰平氏いわく、業者が自ら物件を紹介してくれるということで、釣り物件——すなわち好条件なためにユーザーの集客に使われるが、実際には存在しない、もしくは契約が埋まっているような物件——が存在しない。今すぐ内覧できる物件だけを紹介してもらえるというメリットがある。現在会員登録は月次1000人ペースで増加。1人が4〜5人ほどの業者から物件の紹介を受けており、20〜30%が実際に来店するという。

また最近では、5月にリリースした法人向けサービス「ietty Biz」が好調だそうだ。このietty Bizは、法人の福利厚生サービスとして提供しているもので、サービスを導入する法人の従業員であれば、ietty経由で部屋を契約した際に仲介手数料の半額保証(0.5ヶ月分以下)をしてくれるというもの。

法人には費用が一切発生しないことに加えて、iettyがサービスを展開する東京都内には、「オフィスから2駅以内に住む場合に家賃を補助する」といったルールを持つ、比較的若いIT企業が多いことから非常にウケがいいそうだ。福利厚生サービスの一環として法人に提案するため、導入時には総務担当者などを通じて一度に数百人〜数千人の従業員に情報が共有されることもあってか成約率も高い。現在このサービスは約40社が導入している。手数料半額保証ということで1件あたりの売上は落ちるが、広告出稿などもせずに良質な見込み客が獲得できているということか。

こういった状況もあって、iettyでは2015年はじめにも黒字化が見えている。「レバレッジの効く事業でもないので泥臭いことをやってきたが、既存事業についてはこのまま突っ走っていけばいい様な状況が見えてきた」(小川氏)。そして更なる飛躍に向けて、今回の資金調達をふまえて新機能の開発を進めるという。その詳細については取材では明らかにされなかったが、2015年初にもサイトリニューアルし、新機能もお披露目される予定だ。加えて、政令指定都市を中心に、サービスエリアを拡大するとしている。

なおiettyは2013年11月に開催した「TechCrunch Tokyo 2013」内で行われたスタートアップ向けのプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」にも登壇してくれた。TechCrunch Tokyoは2014年も開催予定なので、同社のような元気なスタートアップとの出会いに興味がある方は是非とも遊びに来て欲しい。


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。