Instagramが写真投稿から買い物ができるタグ機能の検証を開始

instagram-shoppable1

Instagramは、ユーザーが商品を見るために毎回ブラウザに移行しなくても、アプリ内で買い物をできるようにする。今回InstagramはKate SpadeやJackThreadsといった20の小売ブランドと協力し、写真投稿にショピングのためのタグ機能の提供を開始する。まずはアメリカ国内のiOSユーザーが利用できる。

小売ブランドはプロダクトの写真にタグをつけることができるようになる。「タップしてプロダクトを見る」ボタンをタップすると表示される機能だ。ユーザーが気になるプロダクトを選択すると詳細ページを見ることができる。そこには価格、説明、プロダクトの別の写真、ウェブで購入するための「いますぐ購入」ボタンがある。

katespade-3

このショッピングと連携する投稿はFacebookのインスタント記事の商品版といった印象だ。Instagram内でプロダクトページをロードし、ブラウザに遷移するよりも早く情報を見ることができる。購入が決まらないようなら、ユーザーはすぐにタップして元のフィードに戻ることができる。

Instagramは、アプリ内で販売した商品毎に手数料を得るモデルにはしない。その代り、ブランドがフォローしていない人たちにもショッピングと連動する投稿を見せるための広告を販売することでマネタイズを図るとInstagramのマネタイズ部門のVPを務めるJames Quarlesは話す。Instagramはすでに50万の広告主を獲得し、Facebookが10億ドル近い価格でInstagramを買収してから4年経った今、ようやく十分な収益を得るようになった。

Facebookがチャットボットで行っている施策のように、Instagram内で商品の購入が完結できる仕組みの開発はまだ行っていないという。Pinterestではすでに購入可能なピン(Buyable Pins)を検証していて、決済機能もつけているので、この点に関しては少し出遅れていると言える。ただ、どちらのサービスもまだ何がほしいか決まってなく、そのためAmazonで特定の商品を探せないユーザーが目当ての商品を見つける強力なツールになりつつある。

最終的にInstagramは「保存」機能をつけ、フィードを見ている途中でもプロダクトの投稿をブックマークし、後で確認できるようにする予定だ。ユーザーがいつも衝動買いするとは限らない。Instagramの既存の広告は決済サイトにすぐ飛ぶ仕組みだが、これらのショッピングと連携するプロダクトの写真投稿は、例えば違う色の商品や価格の違う商品と比べる時間の余裕をユーザーに与えることができ、本当に購入したい時に購入できるようになる仕組みだ。

FacebookのマネタイズVP、James Quarlesはショッピングと連携するタグは将来的に動画投稿、カルーセル写真にも実装し、他の国にも展開する予定という。Instagramはより多くのブランドのプロダクトがこの機能を利用できるようにするという。また、現在はInstagramのチームが素材を受け取り個々のブランドのプロダクトページを手作業で制作しているが、将来的にはブランド自身がプロダクトページを作成できるようになるという。

ショッピング連携タグのおかげで、ブランドは「プロフィールのリンクをチェック」という分かりづらいキャプションを写真に付けなくてもすむようになる。Instagramは、投稿そのものにリンクを付けることを許可していない。また、プロフィールには1つしかURLを設定できないために、これまではこのようなやり方を取るしかなかった。この機能のローンチ・パートナーは以下の通りだ。Abercombie&Fitch、BaubleBar、Coach、Hollister、 JackThreads、J.Crew、Kate Spade、Levi’s Brand、Lulus、 Macy’s、Michael Kors、MVMT Watches、Tory Burch、Warby Parker、Shopbop.

[更新情報:今朝Instagramが落ち 、サービスが一時的に利用できなくなったことをこれらのブランドは良く思わないだろう。Instagramの信頼性に対していくらか不満を持つかもしれない。]

katespade-1

ショッピングができる投稿は、邪魔にならないのがいいところだ。プロダクトタグが最初に目に入ることはなく、小さなタグのボタンをタップした時に現れる。そのため投稿された写真の美しさを損なうことはない。FacebookやTwitterが試している購入ボタンほど押し付けがましくもない。この機能は、セレブが持っている商品にスポンサーがタグ付けする行動が元になっている。

ショッピングと連携する投稿は、ユーザー行動とも合致する。Instagramの調査によると、インスタグラマーの60%はアプリでプロダクトやサービスについて知るという。また、Instagramの投稿を見て75%がそれらのサイトを訪問したり、検索したり、友人にそれを話したりとした行動を取っているそうだ。

今回の機能でアプリを閉じてブラウザを開き、プロダクトの詳細を探す手間がなくなる。Instagramはロサンゼルスとシカゴでフォーカスグループによる検証を行った時、Instagramで買い物したいユーザーの多くは「プロダクトについてもっと知りたいが、別アプリを開いてウェブで商品情報を検索するのが難しい。プロダクトの詳細を見つけられない」と不満を持っていたという。

Instagramのユーザーに買い物の付加価値を提供することで、このアプリがユーザーのホームスクリーンにあり続けることになるかもしれません。また、ブランド側はショッピングと連携する写真投稿をより多くのユーザーに見せるために多くお金を払ったり、フィードでオーガニックにプロダクトの写真を見るフォロワーを獲得するために広告を購入するようになるだろう。しばらく前からInstagramはショッピング体験の構築に取り組んできた。Instagramはコミュニティーの成長を維持するため、整ったユーザー体験を最優先していることが分かる機能の内容だった。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。