Intelが3.3兆円でチップメーカーGlobalFoundries買収を交渉中との噂

チップ業界でのM&Aとなると、数字は決して小さなものではない。NVIDIA(エヌビディア)がARM(アーム)を400億ドル(約4兆4030億円)で買収したのをはじめ、2020年のチップ業界の4件の取引合計額は1060億ドル(約11兆6680億円)だった。2020年のチップをめぐるM&A騒ぎで1つ驚きだったのは、Intel(インテル)が傍観者のままだったことだ。もし、噂になっているチップメーカーGlobalFoundries(グローバルファウンダリーズ)の買収案件が実現すれば、それも変わる。

噂は最初にウォールストリートジャーナル紙が7月15日に報じた

チップ業界に詳しいMoor Insight & Strategiesの創業者で主任アナリストであるPatrick Moorhead(パトリック・ムーアヘッド)氏は、GlobalFoundriesの買収はIntelにとって合理的だと話す。GlobalFoundriesは現在、社の方針転換を図るために1月に取締役会に加わったCEOのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏のもと、Intelや他の企業向けにチップを製造・販売する新たな戦略を推進している。

「GlobalFoundriesは5G RF、IoT、そして自動車に特化したテクノロジーとプロセスを有しています。GlobalFoundriesを獲得すればIntelは顧客にすべてを提供できる『フルスタック・プロバイダー』になるでしょう。これは(Intelのチップ製造戦略である)IDM 2.0に完全に当てはまり、GlobalFoundriesなしだと戦略を達成するのに何年もかかることになります」とムーアヘッド氏はTechCrunchに語った。

この買収ではまた、部分的にはパンデミックとパンデミックがグローバルサプライチェーンに与えた影響のために世界的にチップが不足して膨大な需要がある中で、Intelは製造施設を手に入れることになる。同社はアリゾナでの2つのファブ(チップ製造プラント)建設に200億ドル(約2兆2015億円)超を注入する計画をすでに明らかにしている。こうした計画にGlobalFoundriesを加えることで、実現すれば今後数年で広範な製造能力を手に入れることになるが、そこに辿り着くには数百億ドル(数兆円)というかなりの投資をともなう。

GlobalFoundriesは米国拠点の世界的なチップ製造メーカーだ。同社はIntelのライバル、AMDから2012年にスピンオフされ、現在はアブダビ政府の投資部門、Mubadala Investment Companyによって所有されている。

投資家らはGlobalFoundriesとIntelが合体するというアイデアが気に入っているようで、Intelの株価は記事執筆時点で1.59%上昇している。この取引はまだ噂の段階であり、決定的なものは何もなく、最終確定しているわけでもないことを強調しておく。何か動きがあればお伝えする。

関連記事
NVIDIAがArmをソフトバンクグループから4.2兆円超で買収、半導体大手2社が一体に
アップルとインテルが台湾TSMCの3nm製造プロセスを使ったチップ設計をテスト中と報じられる
インテルのノートPC向けCPU市場シェアがAppleシリコンの影響で大きく落ち込む可能性、AMDはシェア堅持か
Intelが薄型軽量ノートPC向け第11世代Core新SKU2種と同社初の5Gモデム発表、バーチャルCOMPUTEX 2021で

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Intel買収半導体

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。