Iliadのクラウドホスティング部門Scalewayが今日(米国時間4/27)、新しいタイプのサーバーをローンチした。ユーザーが専用サーバーとしてわずか1分で立ち上げられるそのサーバーは、プロセッサーがARMv8(2コア)、RAM 2GB、SSD 50GB、帯域無制限、という仕様だ。そして料金は月額わずか$3.25(€2.99)だ。
今、PCとスマートフォンでは、使っているチップセットがまったく違う。あなたのラップトップが使っているのは、IntelやAMDが作ったx86系のCPUだが、あなたのスマートフォンはARM系のsystem-on-a-chip(SoC)を使っている。
ARM系のデバイスは大量の冷却を必要とせず、しかも電力の利用効率が良い。またそれらは、日に日に強力になりつつある。だからそれらのチップをサーバーに使うのも、賢明なやり方なのだ。
クラウドホスティングサービスとしてScalewayを使うことは、多くの点で、DigitalOceanやLinodeなどの典型的なVPS*プロバイダーを利用することとあまり変わらない。でも大きな違いは、Scalewayが上記のようにベアメタルのサーバーを提供することだ(仮想サーバーを使うオプションもあるが)。〔*: VPS, virtual private server,仮想プライベートサーバー〕
このところ、クラウドコンピューティングの主流といえば、よほど特殊なニーズがないかぎり、物理サーバーを借りないことだ。クラウドホスティング企業はひとつの物理サーバー上で複数の仮想サーバーを動かし、ユーザーはそれらの仮想サーバーを借りる。
サーバーを複数の小さな塊に分割してリソースをプールするやり方は、デベロッパーにとってとても柔軟性〔==自由度〕がある。たとえば中国に旅するときは仮想サーバーを一つ作ってVPNをインストールし、数日後にはそのサーバーを壊せる。使った時間にだけ課金されるから、30日契約でサーバーの利用登録をするよりも、ずっと柔軟性がある。
あるいは新規ユーザーが増えてトラフィックに大きなスパイクが生じたら、使用するサーバーの数をすぐに増やせる。Scalewayは自分のウィークエンドプロジェクトに使っているが、それも好調だ。
Scalewayは、仮想と物理、両者の良いとこ取りをユーザーに提供する。物理サーバーの信頼性と、仮想プライベートサーバーの柔軟性だ。一つのサーバーをほんの数秒で作ってIPアドレスを割り当て、イメージをロードしてSSDをくっつける。
でもそれらのARMv8のコアを使っているのは、あなた一人だ。CPUのパワーを誰とも共有していないから、突然のパフォーマンス低下に悩まされることはない。共有者はいない。
Scalewayのsystems-on-a-chipは、Cavium社のThunderXだ。月額€2.99で、ARMv8のコア2つとRAM 2GBを使える。4コアRAM 4GBや8コアRAM 8GBを選んでもよい(それぞれ€5.99と€11.99だ)。Scalewayは最近までARMv7のサーバーだったから、これは重要なアップデートだ。
Scalewayがこの新しいARM系サーバーを立ち上げるのは、まずフランスのデータセンター、数日後にはアムステルダムだ。アメリカやアジアにも新しいデータセンターを立ち上げて、ヨーロッパ以外のユーザーもどんどん獲得してほしいね。