Facebookは、ユーザーが投稿した後もサーフィンを続けるように、関連コンテンツを推奨するしくみをテストしている。iOSで行われているテストによると、関連コンテンツカードの種類には、投稿者が滞在したレストランの写真や、以前チェックインした友達の名前、一緒にチェックインしたり投稿で言及した友達の写真、同じ曲を聴いた友達の名前等がある。これらのカードによって、ニュースフィードにライブ感が生まれる。
ユーザーが今一番気にかけてるものに反応することによって、Facebookは新たな利用方法、エンターテイメント、そして収益化の可能性を切り拓くことができる。このカードのテストはiOSユーザーのごく一部で行われている。
[アップデート 3pm PST:Facebookはつい先ほどFacebook for iOS 10.0を公開した。カード機能のテストに加え、近況アップデートのプレビューが可能になり、例えば聞いている曲のミュージシャンのFacebookページへのリンク等、Facebookが追加するお薦めリンクを事前に削除することもできる。また、オフラインまたは電波の弱い場所で記事を作成し、接続されたら公開されるしくみも追加され、フィードのスピードも改善された。]
カードの外観はどんな感じなのか。例えば、ヨセミテ国立公園で友達のJuliaをタグ付けした近況アップデートや写真を投稿すると、上の写真の左側のカードが表示される。右側のカードは、「Grand Budapest Hotelを見ている」というアクションと共に、友達のJon、Jingbo、Greg、Mattをタグ付けした時に表示される。音楽、ビデオの他、読んでいる本にもカードは反応する。
Facebookのカードは、Twitterの一歩先を進んでいて、シェアしたメディアを文中に表示するだけでなく、次に見たいであろうものを推奨する。Google Nowのように火急の問題に答えてくれるわけではないが、それはFacebookが基本的に検索体験ではなく、コンテンツ関連性エンジンだからだ。ゴールは、ユーザーが興味のあるものを見せることにある。その意味で、Facebookのカードは、Foursquareが提供する、近くの場所のお薦めと比較するべきかもしれない。
Facebook Now
Facebookのニュースフィードは概して反応が鈍かった。次に何を表示するかの選択基準は、そのユーザーに誰と何が強く関連しているかの生涯データに基づいていて、今現在の好みや考えはほぼ無視される。たとえその人が親友ではなくても、一緒の写真を投稿したのであれば、その人の写真をもっと見たいと思う可能性は極めて高い。
Facebookは、フィード内でのリアルタイムでコンテキストに対応した推奨を行うことに力を入れてきた。例えばFacebookページにいいね!を付けると、「〈いいねを付けたページ〉に似た」他のページが表示される。ニュース記事と同じように、Facebookはあなたが次に読みたいであろう「関連リンク」を探し出す。
Facebookはコンテキストをモバイルに持ち込み、これをグラフの最中心部分である「人」と「写真」に適用しようとしている。カードのテストは少数のユーザーを対象に行われており、コンテンツは緑、場所は赤、写真は黄色、誕生日は青というカラーコード方式が使われている。
Facebookは私にこう話した。「これらのカードは、今いる場所や次に行く場所に関する情報を発見したり、周囲の友達との会話を促進する手助けをする。この機能は既存のあらゆるプライバシー設定に沿っており、カードには元々にFacebookのどこかで見ることのできる情報のみが表示される。ユーザーのやっていることや訪れる場所について、友達と話すきっかけになることを願っている」
この戦略には、いくつかの理由に基づく可能性がある。第一に、ユーザーは何かを投稿した後Facebookアプリを終了することが多い。これはエンゲージメントの損失だ。Facebookは、シェア後の離脱率をこの新しいカードによって減少させられるかもしれない。
古びたフィードに戻される代わりに、新インターフェースはFacebookが新鮮に感じられるように反応する。Twitterのリアルタイムの流れに対して、遅くてライブ感が少ないとされるFacebookのフィルターされたフィードにとって、これは極めて重要だ。
コンテキストの影響力は大きい
カードは、興味を持ったユーザーと結びつく機会を増やすことによって、企業や店舗のFacebookへの愛着を高められるかもしれない。自分が前にチェックインしたレストランで友達が楽しんでいる写真を見れば、ソーシャルな証明によって、その場所に対する印象は良くなる。
最後に、これらのカードはFacebookに新しい広告機会を提供する。企業は自分たちのFacebookページやコンテンツの露出に料金を払うだろう。Facebookは、下に表示する「~に似た」ボックスの枠を売ることもできる。
2012年、Facebookは検索ボックスの予測入力にスポンサー付検索結果を表示するテストを行い、企業は料金を払って、ライバルが検索された時に、自社のFacebookページやゲームを表示されることができた。この広告商品は結局実現しなかったが、おそらくカードはこの反応マーケティングを再現するだろう。Facebookが広告をユーザーのたった今の意図と結びつければつけられるほど、安価な需要創出広告という歴史的位置付けから、Googleの牙城である、購入意図ベースの需要充足広告へと近づくことができる。
公園にチェックインした後、近くの店を薦められることを想像してほしい。これはまだ起きていないが、Foursquareに対する攻撃として理にかなった次の一手に見える。
現在Facebookは、投稿の構造化コンテンツを分析することによって、推奨カードを作っているが、いずれは、投稿者の場所、時刻、あるいは端末の加速度計などのセンサーといった、よりコンテキスト的な情報に重きを置くかもしれない。Facebookはユーザーの心を読むことはできないが、コンテキスト型カードでは、ユーザーの投稿やその他のシグナルを読むことによって、次に何をしたいかを予測することができるだろう。
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi / facebook)