いよいよ、2021年9月24日にiPhone 13シリーズが発売されます。先行レビューとして、新たに追加されたiPhone 13のスターライト、そしてiPhone 13 Proのシエラブルーについて、見ていきましょう。
スターライトの色味をチェック
「スターライト」と聞いて思い浮かべるのが光GENJIの人もいれば、アイカツ、アイマスの人もいたり、ジャズの名曲もあったりで、人それぞれです。
これまでiPhone、Apple Watch、iPadなどのラインアップには、「シルバー」というスタンダードカラーがありました。ガラスの背面部分は真っ白に塗られ、劣らぬ白いアルミニウムのフレームやボディを備えるカラーです。
今回のiPhone 13シリーズにはそのシルバーが用意されず、代わって「スターライト」が加わりました。シルバー同様に背面は純白で、シルバーとあまり代わらないのではないか、と思います。しかし側面は明らかに異なっていました。
シルバーが真っ白なアルミニウムの金属の色に見えていたのに対し、スターライトはやや黄色みがかった、淡いシャンパンゴールドと言えなくもない、そんな色合いの金属。見た目の印象は、環境光によって、かなり左右されるでしょう。温かみのある電球の下では、よりシャンパンゴールドに近くなるし、蛍光灯のはっきりとした白い光の下では、よりシルバーっぽく見えるかもしれません。
Appleは染料と共に酸化被膜処理を行います。金属表面の細かい孔を作り、これを埋めることで耐食性能を高め、滑らかな表面を実現、同時に色を付けます。
今までのシルバーは、アルミニウムのいわば無垢の色のように見えていましたが、これにあえて色を付けて、一手間加えたのがスターライトというカラーになります。
シエラブルーとパシフィックブルーを比較
続いて、iPhone 13 Proシリーズに新たに加わったシエラブルーを見ていきましょう。
ProシリーズではiPhone 11 Proから特別なカラーが用意されるようになりました。2019年のiPhone 11 Proにはミッドナイトグリーンが用意され、ステンレスのフレームや背面が深みのある独特の緑に染め上げられていました。
ちなみにこの染料を作ったのは埼玉県にあるセイコーアドバンスで、2019年12月にティム・クックCEOが視察に訪れた際に、ミッドナイトグリーンの染料を混ぜている様子を興味深く眺めていたのが印象的でした。
そして2020年のiPhone 12 Proにはパシフィックブルーが用意され、2021年のiPhone 13 Proでは同じブルーながら「シエラブルー」という名前で色味が変更されています。
シエラブルーのシエラは、有名なビールの銘柄にもなっているシエラネバダ山脈からきており、山です。単体で見てみると、藤にも見えるような、明るいカラー。非常に落ち着いた色合いになっています。ハイキング中にこんな色の花が見つかったら、とても豊かな気分になりそうな。
昨年のパシフィックブルーとシエラブルーを並べてみると、前者の方がより色が濃いことがわかります。若干緑の入った濃い青は、太平洋の深い青のイメージにぴったりです。シエラブルーは、やはり紫っぽさが強まっているような印象を受けます。
ただ、いずれも落ち着きのある色で、刺激がある色ではありません。
ノッチ問題
毎年専用の色味が変わってしまうので、もしミッドナイトグリーンが好き、パシフィックブルーが絶対好み、という人は乗り換えがたい難しさがあります。
その一方で、スマートフォンの性能は年々進化しており、また今年も、大きな飛躍ある進歩がありました。2021年モデルのiPhoneで注目すべき点、実はiPhone 13 Proのアップグレードです。
iPhone 13 Proは、新しいフラットなデザイン、5G対応、3つのカメラなど、iPhone 12 Proの特徴を引き継いだ製品です。一見同じデザインに見えますが、ノッチの縮小と受話スピーカーは見た目も使い勝手も大きく向上しました。
ノッチはオールスクリーンデザインのiPhone Xが登場して以来、iPhoneの前面上部に存在する「切り欠き」であり、iPhoneのデザイン上の不完全な要素でした。もちろんそれが意匠にもなっていますが、本来ない方が良いものです。
ノッチの中には、受話スピーカー、インカメラと赤外線照射ライト・センサーを備えるTrueDepthカメラシステム、その他センサー類が備わっています。iPhone 13シリーズでは、デザインの再構成でノッチの面積が20%縮小されました。
具体的には、これまでノッチの中央部にあった受話スピーカーを、エッジギリギリ、ディスプレイ表示領域の外に追いやりました。これによって画面の切り欠き部分をより小さくすることができたのです。
同時に、受話スピーカーが縁に移動したことで、iPhoneを耳に当てたときに、スピーカー位置がズレて聞こえにくいこともなくなりました。細かすぎますが、毎日通話する人にとっては、ユーザビリティ向上の効果が大きいと思います。
6.1インチのProモデル、カメラは2世代分向上
iPhone 13 Proは、iPhone 13 Pro Maxに比べて、より性能向上を実感できるはずです。その理由は、広角カメラの進歩。いってみれば、2世代分の飛躍があったからです。
昨年、iPhone 12 Pro Maxには、大型センサーとセンサーシフト式手ぶれ補正が備わりました。このセンサーは、iPhone 13、iPhone 13 miniにも採用されている17μmピクセルのものですが、昨年のiPhone 12 Proには用いられていませんでした。
つまり、iPhone 13の方が、iPhone 12 Proより大きいセンサーを使っている、ということになります。
しかしiPhone 13 Proも負けていません。2021年は、iPhone 13 Pro Maxと同じ、19μmピクセルのさらに大きなセンサーを、センサーシフト式手ぶれ補正で備えるようになりました。これが、iPhone 13 Proの広角カメラが2世代分一気に向上した、と言う理由です。
手ぶれに強く、動画も滑らかにパンすることができます。光を2.2倍多く集めることができ、森の中、夜も、撮影を楽しむ事ができました。
コンピュテーショナルフォトグラフィーも進化しています。シネマティックモードでの動画も、動画撮影が「表現」に昇華するほどのインパクトを持っています。これらの機能はiPhone 13でも利用できる、iPhone 13シリーズの共通の機能だった。また別の機会にじっくりご紹介したいと思います。
しかし光学性能はカメラの基本で、そこに妥協がなくなったiPhone 13 Proは、最もバランスの取れた魅力的な選択肢だと思いました。ところで今回の新色、どう評価しますか?
(松村太郎。Engadget日本版より転載)