ポジティブな気持ちで溢れたハードウェアスタートアップのJoyは、同社にとって初の製品となるJoy Albumを本日発表した。Joy Albumは、同社が一から開発したインタラクティブなデジタルフォトフレームだ。さらにJoyは、シードラウンドでObvious VenturesやThe Chernin Group、BoxGroup、Maywic Select Investmentsなどから250万ドルを調達した。
タブレットのような形をしたJoy Albumは、一見するとTargetやBest Buyなどの家電量販店で、私たちの親世代を対象に販売されている初期のデジタルフォトフレームのように感じる。しかし、この製品のターゲットは親ではなく、むしろJoyは親が私たちのような世代の人のために購入することを想定している。
CEOを務めるAlan Chanは、妻との彼自身の経験からJoyのアイディアが生まれたと説明する。ふたりは普段、さまざまなデバイスで家族写真を撮っていたが、それぞれが撮った写真を見るために互いをせかさなければならなかった。
13.3インチのディスプレイを備えたJoy Albumには、ワイヤレス充電器が同梱されており、比較的短い5時間という電池の持ちを補っている。Appleの商品からヒント得たJoy Albumには、外部接続用の端子は準備されていない。また、内蔵されたスピーカーを使ってビデオを再生できるほか、リアルタイムのストーリーテリング機能も備えている。この機能を使えば、離れた場所にいる人同士でも、Joy Album上で一緒に写真を見ながら語り合うことができるのだ。さらにJoyは、写真をアップロードするためのウェブ・モバイルアプリも準備している。ユーザーは10GBの無料ストレージを使って、Joy Albumに直接写真をアップロードできるほか、特別アカウントへ写真をメール送付すれば、出先からでもすぐに自動で写真を共有できる。
Joy Albumの欠点として、アーリーアダプターはこの素晴らしいデバイスを299ドルで購入できる一方、最終的な小売価格は499ドルまで上がる予定だ。iPadよりは安いものの、ひとつの機能しか備えていないデバイスとしては多少高く感じる。
スマートフォーンの機能の一部を取り出してユニークな製品つくり出した企業は、Joy以外にも存在する。ニール・ヤングの開発したPonoPlayerは、スタンドアローンの音楽プレイヤーとして、音楽の楽しみ方を変えようとしたが失敗に終わった。ランニングの際に大きなスマートフォンを携帯したくないというアスリートのために開発され、GPSと音楽再生機能を備えたランニング補助機器のPebble Coreについては、これから市場によって判断が下される。どちらのデバイスも、スマートフォンほど日常的に携帯されることはないが、そこだけを判断基準にする必要もない。
Auraという別の会社も、デジタルフォトフレームのAura Frameを販売している。Aura Frameでは、一定の条件をもとに写真が自動でセレクトされ、高品質の写真だけが表示されるようになっている。399ドルの同製品には、無制限のストレージもついてくる。Chanは、Aura Frameと似たような機能をJoy Albumにそのうち取り入れる可能性を否定していないが、しばらくの間はユーザーの要望や複数の人が直接一緒に写真を楽しむために必要なポイントに沿ってデバイスを改良していくことに注力するつもりだ。
本質的にパーソナルなデバイスとしてのスマートフォンにはさまざまな利点がある。Joyはこの前提を良く理解しており、ある人が友人にスマートフォン上に保存された何かを見せる際に、わざわざプライベートメールや文書、写真、IoTデバイスへのアクセス権などが詰まったデバイスを手渡さないで済めば便利なのではないかと考えたのだ。そしてJoy Albumは、常に家の中にあるパブリックなデバイスのため、今まで起こり得なかったような新たな交流の形が誕生する可能性もある。
誰かがあなたの携帯電話を掴み取ってアルバムをスクロールしだしたら、プライバシーを侵害されたと感じるだろう。対照的に、自分で選び抜いた写真をJoy Albumにアップロードしておいて、写真を見た誰かの顔に笑みがこぼれていれば、イラつくよりも嬉しく感じる可能性の方がずっと高い。さらにJoy Albumを使ううちに、写真を携帯電話で送り合ったり、ソーシャルメディア上にアップロードしたりするだけでは得られない、親しいたちと一緒にアルバムを眺めるようなノスタルジックな気持ちを取り戻せるかもしれない。全てが予定通りにいけば、2017年の夏頃にはJoy Albumの出荷が開始される予定で、現在Joyのウェブサイトではプレオーダーを受付けている。
[原文へ]
(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)